ep.172 アレば、すると?
瑠奈とベスを残し、桜子達は上の地下1階駐車場を目指す。
桜子と藍はエレベーター、こころとローズは自動車用スロープを上がった。
エレベーターが閉まると桜子は、軽くため息を吐き、
「てっきり木刀だと思っていたけど、まさか真剣とはね・・・。藍、アナタにはいつも驚かされるわ。いつ持って来たの?」
藍は悪戯っぽく笑うと、
「てへへっ。内緒どす、桜子ちゃん」
桜子はもう一度、今度は深くため息を吐き、
「はぁー、まぁいいわ。とりあえず、地下1階では、エレベーター出た所で見ててくれる?」
藍は可愛く敬礼し、
「あいっ、桜子ちゃん」
ツインテールの髪が、柔らかく揺れる。
刹那、チンと無機質な音がして、エレベーターの扉が開いた。
桜子は、インカム越しに、
「こころ、ローズィー。今から敵の車両を確認しながら、そっちへ向かう。合流のちアクション。OK?」
『よかよ』
『No problem、桜子チャーン』
こころとローズは、談笑しながらスロープを上がる。
既に二人の拳には、格闘用グローブが嵌められていた。
どうやらこの二人には緊張感というものが、ほとんど無いらしい・・・。
「でね、ローズ。ウチは、来週半ばから東京と横浜とよ」
「マタ、試合?」
こころは、軽くため息を付き、
「ううん、違うと。合宿。しょーがなかよ、全日本のやけ。もっとも横浜は、桜子ん家で稽古ばつけてもらうと。楽しみは、中華街でのご飯とよ~」
「National teamハ、大変ネー。デモ、中華ハ、ウラヤマシーネ」
「へへっ」
そんな中、桜子から連絡が入る。
『こころ、ローズィー。今から敵の車両を確認しながら、そっちへ向かう。合流のちアクション。OK?』
こころとローズは、互いに顔を見合わせ頷く。
「よかよ」
「No problem、桜子チャーン」
桜子がこころ達に合流し、
「おそらく全部で7台。右のプレジデントとシーマ、左のBMW2台、クラウン、ベンツ、グロリアがそうね。で、人が乗ってるのが、プレジデント、シーマ、BMW2台とグロリアの5台。とりあえず、全員倒した時点で、集めてくれるかしら?」
「よかよ。アレば、すると?桜子?」
こころがニヤリと笑い、尋ねた。