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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一日目
17/243

ep.017 潰れた空き缶ともう一つの顔

理解(わか)りました。で、橘先生はそのお兄さんの一件と今回の暴行事件、関連性があると・・・?」

桜子は橘に尋ねる。

橘は、気を落ち着かせて考え、

「100%とは思わないにせよ、何かしらの関連性はあると思う。で、鷲尾さん、あなたにお願いしたい事は、二つ。一つは、この暴行事件が生徒の間で、噂にならないよう気をつけて欲しいの。もう一つは、出来るだけ稲美さんと鈴木さんに接触あ、気持ちのフォローしてやって貰えないかしら?」

桜子は、快諾した。

橘は睦月に向き直ると、

「睦月先生、生活指導の立場で、生徒達に登下校の際に気をつける様に呼びかけて貰えますか?」

「そうですね、月曜の全体朝礼の時にでも。最近、公園に変質者がよく出ますとでも言いましょうか」

睦月は微笑んだ。

「それから、明日、稲美さんの家に伺がおうかと思うのですが、ご同行頂けませんか?」

睦月は、明日の予定を頭の中で、チェックして

「そうですね。それでは、昼の12時半に河内長原駅でいいですか?タクシー乗り場の辺りで待ってて下さい。車で迎えに行きますから」

了解(わか)りました。それで結構です」

橘は、深々と頭を下げた。

桜子が思い出したかの様に、

「参考までに、お友達がお勤めになられている病院名教えて貰っていいですか?」

「富田森の愛染病院って所よ。南海・金剛寺駅の近くの・・・」

「ありがとうございます。でも、稲美さん、もし、襲われた次の日も登校していたら、凄い精神力ですね」

桜子は、深いため息を()く。

睦月が自己見解を述べた。

「いや、違うな鷲尾くん。本当は休みたい。いや、それ以上に人と関わりたくないと僕は思うよ。ただ、それ以上に家に居たくない理由があるとね・・・」

《なるほど・・・》

桜子は、事件の全貌を探ろうとするが、まだ何か足りない。

《とりあえず、寮に戻って冷静になる必要はあるか・・・》

桜子は、立ち上がると、橘に向かい、

「私はこれで失礼します。ご依頼の件に付きましては、対応致しますので、安心下さい。あっ、橘先生、オレンジジュースごちそうさまでした。これ捨てといて頂けますか?」

桜子は、空き缶を橘に渡すと、もう一度頭を下げ理科準備室から出て行った。

橘は渡された空き缶を見て呆然とした。

「睦月先生、こ、これ・・・」

橘は、睦月に空き缶を差し出す。

それを見た睦月が、涼しい気に笑った。

「同じですね・・・」

睦月の差し出した空き缶も、これでもかといわんばかりに、握力によって潰されていたのである。

もちろん、桜子のも同様に・・・。


理科準備室を出ると、意外な人物が壁にもたれ、桜子を待っていた。

いつもと雰囲気が違った。

眼鏡が無く、いつもの可愛い感じは全くない。

「桜子、介入するなとは言わない。但し、危なくなったら撤収しなさい。理解(わか)った?」

桜子は驚く。

「先生、私達の事、知ってるんですか?」

いつもと違う緒川は、ニヤリと笑い

「アタシを誰だと思っているの?仮にも、アンタ達の担任よ。分からなくて?クスっ」

そう言うと、緒川は職員室方向へ立ち去った。

《朋ちゃんにあんな顔があっただなんて・・・》

桜子は、顔を数度降ると、生徒会職務室に向かった。

鞄を取って、寮に帰るのだ。

確か今日は、月に一度の薔薇風呂の日、頭を柔らかくするには丁度いい。

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