表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
三日目
166/243

ep.166 手紙

その日、トメさんこと雀村トメは、いつもの様に5時半に目を覚ました。

《あら、嫌だ。せっかく入院させてもらってるのに、日頃の習慣は抜けないものだねぇ・・・。しかし、昨夜はまさか、政さんの組を継ぐ発言と、秀さんの一の子分入りを見る事になるとはねぇ》

そう思いつつ、ちらりと自身の背中を見、

《こっちはさすがに、継げとは言えないね。先々代の“青龍”は、先代、そして、政さんに引き継がれたけど・・・。そういや、“玄武”の陣悟郎は元気だろうか?博徒を辞めて、北の地で坊主になったと風の噂で聞いたけど・・・。“白虎”は・・・》


トメは、むくりと起き上がると、

《ちょいと早いが、政さんの顔でも見に行くかねぇ》

ぱっぱと顔を洗い、髪を纏める。

そして、身繕いをし、凛とした面持ちをすると、政の病室905号室に向け歩き出した。


トメは、軽く病室のドアをノックすると、部屋に入る。

「政さん、トメだよ。いつもの様に早く起き・・・」

と、途中までセリフを発して、呆然と固まってしまった。

トメがそこで見たのは、ガランと片付けられた病室と、綺麗に折り畳められた浴衣、そして、その上におかれた一通の手紙。

宛名はトメ。


我に帰ったトメは手紙を手に取り、一気に最後まで読むと、ハラリと落とした。

頬を涙がつたい、思わず言葉を漏らす。

「ば、馬鹿だよアンタ・・・、これじゃあアンタ一人で・・・、一人で全てのケジメを着けるつもりかい・・・。ひ、秀、秀に連絡を取らなくちゃ・・・。秀、秀・・・」

トメは手紙を拾うと、足速に政の病室を後にした。


裕一は痛みで目を覚ますと、顔を摩る。

《あのボケ、今度見つけたら、コンクリ積めにして南港に沈めたる・・・》

そんな思いを胸に、携帯を取り出し岸田に掛けた。

「岸田か?俺や。今日9時には迎えに来いよ。麻薬(ヤク)も持ってな。それから、昨日、俺らを襲ったガキ、探し出して拉致れ。そやな、山崎にさせたらええやろ。え?何?山崎と連絡つかへん?はぁ?アホか?オドレは?何で部下の管理が出来てへんのや。まぁ、誰か使こて探させや!ええな!」

声を荒げて電話を切ると、更に大きな声を出し、

「雪江ー、トメー、おらんのか?」

しかしながら、裕一以外誰もいない稲美邸は、沈黙を保ったままだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ