表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
161/243

ep.161 ただの山崎秀彦や

「実家って・・・、アンタ・・・、この前、スーパーで話した時、美沙ちゃん、こっちで産むって笑らってたのに・・・」

政は何か思う所があったのか、

「まぁ、トメさん。何かしら秀さんにも事情があるんじゃないですか?なぁ、秀さん」

秀はジャケットからハンカチを取り出すと、冷や汗を拭き、

「そっ、そやねん。さすが政さんや・・・。き、急に、美沙のオカンが戻って来い言うねんな・・・」

トメは疑いの眼差しを残したまま、

「ふーん、まぁ、政さんがそう言うならそーなんだろねぇ・・・」

政は、一度深呼吸をすると、キッと顔を引き締め、頭を下げ、

「しかし、秀さん。連絡を取らなくてすまなかった。俺は、俺はな、組長(おやじ)さんと姐さんが襲われた時、護れなかったばかりか、不覚にもテメエ自身も深い傷を受けちまってて・・・、情けねぇ・・・。正直、そのまま消えちまった方が、いいんじゃねぇかとさえ。隠退も考えた。悩んだ・・・、しかし、気がつけば・・・、世の中に未練があるのか、まだ俺の事を“兄貴”と慕ってくれる若い弟分も・・・」

秀は少し困った顔をして、

「政さん、もしかしてそいつは中々の色男ちゃうか?」

「あぁ、ヤクザにはもったいねぇ二枚目の野郎さ・・・。カタギで居りゃいいのに・・・。少しばかり喧嘩っ早ええが・・・」

秀は深々と頭を下げ、

「スマン、倒してもーた」

政はニヤリと笑うと、

「いや、どうせはやとちりでもして、秀さんの事、鉄砲玉(ヒットマン)か何かと間違えたんだろ・・・。まだまだ、アイツぁ、礼司は人を見る目がねぇな」

秀もつられて笑う。

「政さんにそう言ってもらえると、俺、助かるわ・・・。あの二枚目は礼司って言うんや。ええ若いモンやな、パンチも良かった。久しぶりに鍛えてみたいと思ったわ」

政は、秀の胸元に有るはずのモノに今気付いたふりをして、

「秀さん、代紋どうしたんだい?」

「あっ、アレな・・・。バッジは帰したんや・・・。せやから、もう俺は・・・、俺は“河内稲美会”若頭の山崎秀彦やのーて、ただの・・・、そや、ただの山崎秀彦や」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ