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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
160/243

ep.160 ピーマンとニンジン

扉を開けるなり山崎は、政の顔を見る。

一歩部屋に入ると、緊張が解けたのか号泣した。

「まっ、政さん。良かった、ホンマに良かった。おっ、俺、俺・・・」

政も、山崎に懐かしさを覚え、

「秀さん。俺も連絡取らなくって、すまなかった。申し訳無い・・・」

そう言って、ベッドの上から頭を下げた。

政の目にもうっすら涙が浮かぶ。

山崎は、首を横に数度強く振り、くしゃくしゃの顔のままで、

「かまへん、かまへんねん。俺は、俺はな。政さん、アンタが生きてる。それだけで、嬉しいんや」

二人の様子を見兼ねたトメが、

「何だい、何だい。河内稲美会の若頭と武闘派No.1が、揃いも揃って泣くとは・・・、先代が居れば何と言うか・・・」

山崎は鼻をすすり、

「確かに、問答無用でゲンコツもんだ・・・」

政も、くしゃっと破顔し、

「怒ると怖かったからなぁ、組長(おやじ)さんは・・・。しかし、こうやって、俺達をあしらうトメさんも、たいしたもんだ」

トメさんもニヤリと笑うと、

「そりゃそうさ。あたしゃ、アンタ達が組に入りたてのガキの頃から、アンタ達の飯作ってるんだ。まだウダウダ女々しいようなら、政、アンタにはピーマン、秀、アンタにはニンジン食わせるよ!」

政と秀こと山崎は、顔を見合わせ、ぷっと吹出し、

「トメさん、そりゃ勘弁だ」

「本当や、俺、嫁さんにも無理言って、ニンジン外してもろてるのに・・・」

笑いが部屋を包む。

昔を懐かしく思える暖かいひと時だ。

我にかえった秀が、

「しかし、トメさん、何で病院に?」

トメは、一つため息を()くと、

「情けない事に、心労がたたって昨日倒れちまってね・・・。そのまま救急車で、この病院に入院したのさ。明日には退院出来るんだけどね・・・。アンタこそ、身重の嫁さん。美沙ちゃん、ほったらかしにしていいのかい?確か臨月だろ?」

政が驚く。

「なんだ、秀さん。美沙ちゃんと籍入れたのか!しかも子供まで・・・」

n秀は淋しく笑うと、

「あぁ、先代の組長(おやじ)が亡くなられて、暫くして美沙の妊娠が発覚(わか)ってな。責任取って、籍入れたんや。ほんで、今日、美沙は吉野の実家に帰した・・・」

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