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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
154/243

ep.154 俺、政さんに会ってくる

意外な名前が出た事に、山崎はかなり驚く。

動揺を隠せず、ハルナの両肩を力強く掴むと、

「おっ、おい、ハルナちゃん。自分、今、何て言うた?まっ、政、政さんて言わんかったか?」

ハルナは肩の痛みに、顔を少し歪め、

「いっ、痛い・・・。痛いって、山崎さん」

山崎は手を離し、

「すっ、すまん。せやけど・・・」

ハルナは、深くため息を()き、肩を触ると、

「どんだけ力入れて掴んでんねん、ホンマ。あー、確かに言うたよ、政さんて」

山崎は顔をぐっとハルナに近付け、

「生きてるんか?政さん」

どう答えていいか判断(わか)らないハルナは、首だけを縦に振って答えた。

「そうか~、良かった。ホンマ良かった。政さん生きてた」

そう言って山崎はテーブルのナプキンで目頭を抑え、ハルナにポツリポツリと語り始める。

「俺ら、兄弟分でな。政さんは少し俺より年下やねんけど、組での位は俺より上で・・・。俺が《若頭》って呼ぶと、政さんは照れて、『やめて下さい、山崎さん。俺、そんなガラじゃないです』そう言って、俺を諭してな・・・。もちろん、殴り合いの喧嘩もしたが・・・、いつからか《政さん》《秀さん》と呼び合う仲になって。俺はあの人の盃なら、子分として受けたいと思ったんや・・・」

言い終えると、少し遠い目をし政を思う。

山崎の様子を見て、決心したハルナは、

「あんな、山崎さん。政さんの居場所・・・、知りたい?」

「教えてくれるんか?頼む、この通りや!」

山崎は、手を合わせ頭を下げたまま動かない。

《これは、山崎さんに教えても、害はなさそうやな・・・》

ハルナは瞬時に答えを出し、

理解(わか)った。山崎さん、顔上げて。政さんは富田森記念病院に居てはるわ。つい一ヶ月前くらいに、905号室に転院してきてんて。ウチと同居してる親戚の子が、偶然仲良くなって・・・」

「富田森記念病院・・・、905・・・」

山崎はそう呟くと、拳を握りしめ、自身の顔を殴りつける。

意識はまだハッキリしない。

更に山崎は、テーブルのアイスペールを取り、勢いよく自身の頭の上にぶちまけた。

氷と溶けた水が、山崎に降り注ぐ。

山崎は頭をブンブンと横に振り、水滴を飛ばすと、

「目が醒めた。おおきに、ハルナちゃん。俺、政さんに会ってくる」

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