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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
148/243

ep.148 ピアノ・ソナタの流れる部屋で

「ありがとう、ベス。部屋を使わせてもらって。雪江ちゃんの様子は?」

桜子は脚を組み、目を伏せたまま背後の扉から入って来たベスに声を掛けた。

ベスは優しく微笑むと、

「ぐっすり眠っているわ。直子ちゃんも傍に居るし・・・、一応、ラベンダーのアロマ・キャンドルも点してきたけど」

そう言って、空いているソファーに座った。

部屋の中は、レースのカーテンによって、柔らかい光が部屋を満たしている。

桜子達の背後で、静かにショパンのピアノ・ソナタ第三番が流れていた。

桜子を中心として円を描くように、右側にこころ、瑠奈、皐月、ローズ、ベス、そして、藍の順で座っており、表情は全員一様に硬い。

桜子は目を開くと、仲間達を見回し、

「全員揃ったわね。皆んな、今日は調査とフォローお疲れさま。まず、アタシから報告させてもらうわ」


こころがギリっと奥歯を噛み締め、

「何ね、何ね、何ね!雪江ちゃんや直子は、ヤクザの覇権争いのネタにされとると?その為だけに、あんな目に逢ったと?」

皐月がすっと立ち上がり、こころの背後に回ると右肩に手を掛け、

「こころ、少し冷静にならないと・・・。熱くなりすぎては、いけないわ」

こころを諭す皐月の右手も、かなりの力が入っている。

皐月は、桜子に目をやり、

「桜子、私は今から北海道に飛びます。明日の朝一の便で、帰って来るわ」

「ええ、お願いね、皐月。気をつけて」

北海道へ旅立つ皐月の姿は、革のタイトミニに、蜘蛛の巣柄の網タイツ、黒のビスチェ、そして漆黒のはねくみのライダージャケット姿である。

胸元と左中指には、ベスからもらったアクセサリーが妖しい光を放つ。

「しかし、皐月。北海道に行くには、少しセクシーすぎじゃなくて?」

桜子が、皐月の姿をまじまじと見て漏らすと、皐月はクスっと笑い、

「札幌の男達を(とりこ)にして、情報を聞き出すにはこれくらい着ておかないと、ね」

刹那、藍が椅子から降りると、皐月にひょこひょこ近付き、

「皐月ちゃん、耳貸しておくれやす」

藍が何か囁き、皐月は頷いた。

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