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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
142/243

ep.142 信用ならんヤツ

“河内稲美会”会長補佐・岸田は、イラついていた。

それもそのはずである。

会長の裕一に刺された脚の治療を愛染病院で行い、出てきてみれば右腕の若頭・山崎の姿が、車共々見えないのだ。

「山崎のダボ、何処行っとんや!」

岸田はそう漏らすと、携帯を取り出し山崎へ架ける。

数回の呼出し音の後、携帯は直ぐに留守番電話に変った。

《あー?何で出よらへんねん》

岸田は再度試みる。

やはり、携帯は繋がらなかった。

《使えんやっちゃ・・・、若頭から降格や!》

岸田は諦め、別の番号にかける。

《あんまり、コイツは使いたくないんやけどな》

コールが二回鳴った後、相手はすぐに出た。

「壱野か?俺や、岸田や。今、何処おんねん?あー?羽曳川?今から富田森の愛染病院まで、ワシ迎えに来てくれ!あ?債権回収中?そんなもん明日でかまへんわ。すぐ来いよ、すぐ」

《ホンマ、どいつもこいつも、使えんヤツばっかしや!あのボンクラかて、ワシの脚刺しやがってからに、そのうち鉛弾ぶちこんだるからの》

岸田は、ポケットからラークを取り出すと火を着ける。

一口だけ吸い込み、すぐ靴底で揉み消した。

しかしながら、イラつきは消せそうになかった。


15分もした頃であろうか、姫路ナンバーの黒のベンツ・C280が愛染病院の玄関先に着く。

壱野だ。

ウインドウを下げ、ニヤけた顔をちらつかると、

「お待たせしました、補佐。どうしたんです?その脚?山崎さんは?」

足元にかなりの吸い殻を作って、相変わらずイラついてる岸田は、ベンツの後部座席に乗り込むと、

「刺されたんや、ボンクラに!」

「ボンクラ?」

壱野は、わざととぼけてみせた。

岸田はキレ気味に、

「ボンクラや!ボンクラ!会長のボンクラにや!」

麻薬(ヤク)が原因でですか?」

「俺が知るか!とりあえず、堺の俺の事務所行ってくれ」

「はい、本家じゃなく、補佐の事務所ですね」

ベンツは堺を目指して走り出した。

壱野は口には出さないが、岸田が刺された事が面白い様だ。

岸田は流れる景色を見詰めながら、

《コイツは信用ならんヤツやからの、気をつけんと・・・》

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