表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
141/243

ep.141 よろしく、ペンダントさん、指輪さん

「ふふっ、そういう事か」

ベスは自室の椅子に座っており、目を閉じ、左耳にブレスレットをあて、囁く。

後ろで、ラフマニノフのピアノ協奏曲第二番が流れている。

ベスの大好きな曲だ。

目の前には、30分も前に煎れたのにもかかわらず、まだ冷めない紅茶が良い香りを漂わせている。


《もうそろそろかな?》

ベスがくるりと椅子を回すと、同時にドアが開いた。

ベスはいろんな意味を込め、

「お帰りなさい、皐月。大変だったでしょ?」

皐月は、『ただいま、ベス』と告げ、部屋に入る。

自身の椅子に座り、脚を組むと、深くため息を()き、

「ええ、ご推測の通り。みんなとの話し合いが終わったら、すぐ飛ぶわ。札幌に・・・。と言っても、明日の朝一番には帰るんだけどね」

皐月は、情報屋・徳野と会った姿ではなく、兄・睦月の部屋で着替えたので、ジーンズにDIESELのTシャツといったラフな格好である。

「ワォ、北海道?そんな所まで行くんだ。大阪に比べて、まだ寒いわね」

皐月は少し遠い目をして、

「そうね、この時期はまだ寒いかも・・・」

ベスは少し驚くと、

「あら、皐月は北海道に行った事があるの?」

「ん?少しね。あっ、アタシも紅茶もらっていい?」

「うん」

ベスは棚から皐月のマグカップを取り出すと、ティーポットからなみなみと紅茶を注いだ。

もちろん、不思議と熱々の紅茶である。

皐月は、『ありがと』と言ってマグカップを受け取り、一口啜ると、

「こんなとんぼ返りじゃなく、プライベートな旅行で行きたいわね、北海道」

ベスも大いに頷き、

「いいわね~。アタシも北海道はまだ行った事ないから、そのうち行ってみたいわ。でも、ジンギスカンくらいは、食べてくるんでしょ?」

「それくらいはね」

皐月は、鞄から“るるぶ・北海道食べまくりの旅”を取り出して見せる。

ベスは、大笑いして、

「キャハハ、やっぱり、皐月は抜目ないわ。時間があったら、お土産よろしくね」

「時間があったらね」

皐月は、不敵に笑った。

ベスは机の引き出しから、何かを取り出す。

水晶を飾ったペンダントと指輪だ。

「これを身に付けて行って、必ず皐月を助けるから」

「えっ?アタシに?ありがとう」

皐月が、ペンダントと指輪の水晶を光に翳して見ると、ペンダントには見る角度によって炎が、指輪には氷の結晶が写っている様に見えた。

ベスはブレスレットを耳にあて、椅子からまた立ち上がると、

「そろそろ、皆んな帰って来るみたい。アタシは玄関に向かえに行ってくるわ。皐月は、北海道に行く準備してていいよ」

皐月は大きく延びをすると、

「うん、遠慮なくそうさせてもらうわ」


残された皐月は、早速ペンダントと指輪を身に着け、囁く。

「よろしく、ペンダントさん、指輪さん」

皐月は気付かなかったが、ペンダントと指輪が応える様に小さく妖しい光を放った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ