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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一日目
14/243

ep.014 理科準備室にて

職員室と同じフロアの理科準備室に三人は入り、橘が電気を着ける。

「適当に座ってもらって、構わないわ」

桜子と睦月に告げると、橘は角にある冷蔵庫に駆け寄る。

「オレンジジュースでいいかな?」

橘は、三本の缶ジュースを冷蔵庫より取り出して、座っている睦月と桜子に渡す。

オレンジジュースの缶が、キンキンに冷えているのが心地よかった。

睦月が、橘が自分の席に座ったのを確認し、話を切り出す。

「で、橘先生、お話というのは?」

睦月の口調は優しい。

橘は軽くため息を()き、

「睦月先生、鷲尾さん、今から話す事は、他言無用でお願いしたいの」

と頭を下げた。

桜子と睦月は、顔を見合わせると頷く。

橘は、語り始める。

「ありがとう。実は数日前の事なんだけど、私の看護師をやってる友達から連絡が入ったの、聖クリの生徒二人がヤクザ風の男に連れられ、ウチの病院に来たの知ってる?って」

桜子は尋ねる。

「我が校の生徒で間違いないんですか?」

「ええ、ウチの制服着ていたから間違いはないそうよ」

「それで?」

睦月が、話を促す。

「実際、診察と処置を行われたのが、二人の内、一人だったのね。しかも、その女の子の制服は破れたりしていたらしいわ」

桜子は、急に気持ちが高ぶり、持っていた缶ジュースを凹ませた。

「それって、レ・・」

橘が、言葉を遮り、話を続ける。

「友達が奇妙に思ったのは、暴行事件の様なのに警察が来る訳でもなく、健康保険を使ってないので、カルテに記載されていた名前も正直偽名臭いって・・・」

「なるほど・・・、続けてもらえますか、橘先生」

睦月の顔が引き締まる。

「で、友達が、さりげなく同僚の看護師に、人物を特定出来る情報を聞き出してくれたの。出てきたのが二つ。ヤクザ風な男は大袈裟に処置を受けた女の子を“ゆきえ”と、もう一つがその男が何も無かった女の子に“すずきさん”と気持ち悪く呼び掛けていたって事なの・・・」

桜子は目を閉じ、頭の中にある聖クリ全生徒名簿の検索をかける。

《橘先生、ゆきえ、すずきさん、女子生徒、この検索からヒットするのは 、確かに二名・・・》

ここまでの所要時間、僅か0.5秒。

桜子は目を開け、橘に静かに語り掛ける。

「つまり、橘先生のクラスの稲美(いなみ)雪江(ゆきえ)と鈴木直子に、何かしらのトラブルが降り懸かっているとお思いなのですね」

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