ep.139 不思議な事もあるわ
桜子達は不思議な雰囲気を持ったまま、今度は雪江のお手伝いさんのトメさんの病室に向かう。
途中、直子が藍の指から放たれた光について聞いてみたが、藍は『反射した光が目に入ったんちゃいますか?』と笑ってすませてしまったので、真相を聞けずにいた。
もっとも、確かに部屋にはカーテンを開けた時に、かなり強い反射光が入っていたのも事実なのではあるが・・・。
直子は密かに雪江に耳打ちし、
「ゆっきー、さっきの何だけど・・・」
「気にしない事、ナオ。世の中不思議な事もあるわ。アタシはそうしているよ」
と取り合わなかった。
トメさんの病室に着くと、まず雪江が部屋に入り、
「トメさん、友達がトメさんのお見舞いに来てくれてるんだけど、入ってもらっていい?」
トメは身体を起こすと、雪江が友達を連れて来たのがかなり嬉しく、
「まぁ、こんな年寄りのお手伝いにまでお見舞いに・・・。雪江ちゃんのお友達は、優しいんですねぇ。昨日の方ですか?」
雪江はクスっと笑い、
「ええ、まぁ。じゃあ、入って貰うわね」
トメは嬉しそうに頷く。
雪江は、病室のドアを開け、
「お待たせしました。皆さん、どうぞ」
まず、直子とこころが入る。
「こんにちわ、トメさん。昨日はびっくりしましたよ~」
「ばーさん、大丈夫と?ウチも驚いたとよ」
トメはこの二人は予想していたので、ベッドの上から頭を深々と下げ、
「昨日は心配かけて、ごめんなさい。救急車呼んで頂いて、ありがとうございます」
こころはニカっと笑い、
「そんな気にする事なかですよ。当たり前の事したまでです」
そんな台詞をこころが言い終わらないうちに、藍の元気な『はじめまして~』の声と共に、藍、瑠奈、ローズ、そして、桜子の順番で病室に入って来る。
トメは、かなり予想外だった様で、目を真ん丸にすると驚き、
「あら、あら、あら、あら」
桜子が頭を下げ、タイミングよく切り出す。
「はじめまして、トメさん。聖クリストファー学園国際高校で、生徒会長をしております鷲尾桜子と申します。この度は、こちらのこころより、トメさんが倒れられたとお聞きしましたが、お元気なご様子で安心しました。ここにおりますのは・・・」