ep.135 ステゴロの果てに
瑠奈は雪江にロビーで少し待つように言うと、急いで政の病室を目指した。
ノックし、部屋に入る。
「こんにちは、瑠奈です」
部屋の中には、政に礼司、そして、礼司と一緒に瑠奈を助けくれた二人がいた。
瑠奈はペこりと頭を下げ、礼を言う。
「礼司さん、礼司さんのぉ友達さん、先ほどは助けて頂ぃて、ぁりがとぅござぃました」
礼司は照れ、
「いやぁ、瑠奈さん。当然の事したまでです。礼を言われる程でもありません」
それを見ていた政は、軽くため息を吐き、
「礼司から聞きました。大変でしたね、瑠奈さん」
瑠奈は軽く笑い、
「ははっ、何だか理解りませんが、大変でした。でも、礼司さん、大丈夫ですか?相手してた人の胸に、金色のバッチが付ぃてましたけど・・・」
政が、もう一度たやれやれといった感で、ため息を吐き、
「闘ったの同業か?礼司」
礼司は嬉しそうに、
「はい、アニキのいい付けどおり、容赦なく」
「どんな風体だった?」
「一人はチャラチャラした若造で、もう一人は背の高いハゲて小肥りのオッサンですね。なんか、オッサンの事を“岸田”、若造の事を“ボン”とか言ってた気がします。なあ?仁、智巳」
仁と智巳は頷く。
政は相手が誰か理解ったのか、真剣な面持ちで、
「仁と智巳だったな。後で盃くれてやる。但しだ、俺の言う事に背けば、即、破門だ。それでいいか?」
仁と智巳は、お互い顔を見合わせ頷く。
驚いたのは、礼司である。
「マジっすか?アニキ」
「あぁ、その代わり、今回のシメた件は、俺が全責任を取る。文句は聞かない」
礼司の顔色が変わり、
「ひょっとして、手を出したらいけない相手でしたか?アニキ?」
政は、破顔すると、
「いや、そんな純粋さが、礼司、お前のいい処だ。この一件、俺に任せてもらう。構わんな?」
「はっ、はい」
そんな様子を見ていた瑠奈であったが、少し時間を気にして、
「ぁの、政さん。ぉ取り込み中すぃません。ぉ話が有ります。二人になれますか?」
政が目で合図すると、礼司達は部屋を出る。
「ぁりがとぅござぃます、実は・・・」