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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
一日目
12/243

ep.012 全国制覇と温泉旅行

「しかし、芸術系の先生は熱いなぁ。そう思いませんか、鷲尾くん?」

と言って学年主任で現代国語教師の余崎(よざき)和也(かずや)が、後輩の生物教師の三好(みよし)孝志(たかし)と 数学教師の佐藤(さとう)篤司(あつし)を伴って、桜子の目の前に現れた。

「また、余崎先生、三好先生、佐藤先生まで、どうしたんです?」

三好が余崎を制して、

「余崎先輩、僕が話します」

余崎は頷く。

「実はなぁ、鷲尾。今度、次の全国共通テストに向け、特別対策のプロジェクト・チームを立ち上げたんだが」

「はい」

「それで、我々、教師で検討した結果、各学年の各科目のトップ10の生徒達に、それぞれアドバイザリー・スタッフとして参加して貰おうという事になったのだよ」

桜子は目を細め、

「面白い企画ですわね」

今度は、佐藤が話す。

「勉強方法、気をつけるべきポイントは生徒によってまちまちですからね。成績優秀な生徒達の意見を聞き、全体に反映させる事こそ・・・」

「学校自体の底上げになると、お考えなのですね?」

桜子は、佐藤の言葉を続けた。

余崎がニコリと笑い。

「そういう事だ、鷲尾くん。僕はこの学校での順位なんて余り意味が無いと思っていてね。それよりは、各科目、全国トップ100を聖クリが占めてしまう方が、面白くありませんか?」

桜子は少し考え、ニヤリと笑う。

「確かに・・・。勉強での全国制覇、興味がありますわ」

余崎は少し安堵し、

理解(わか)ってくれましたか」

「はい。生徒会を上げて、全面協力させて頂きます。但し・・・」

余崎がギクリとし、冷や汗が額を伝たう。

「但し・・・、とは?」

こんな時の桜子は、冷ややかである。

桜子は、鉄扇を取り出すと優雅に開き、口元を隠して、

「当然、結果によっては、先生方の報酬が上がられる訳ですから、私どもにも、何かしらの形で還元して頂きたいですわ」

「せっ、先生達から、巻き上げようとするのですか?君は」

余崎の顔が赤くなる。

桜子は更に冷ややかに、

「あら、私はそんな私利私欲は、全くありませんわ」

「であれば、どうしろと・・・」

桜子の瞳が怪しく光る。

「そうですわね。全生徒を一泊二日で結構です。温泉旅行にでも、連れて行って下さいな」

「そんな無茶な・・・」

余崎は焦る。

学年主任で、決済出来るレベルでは無いからだ。

「あら、この達成による費用対効果は、全生徒の一泊二日の温泉旅行よりも、全然安いと思いますが」

桜子は、悪魔の如く笑う。

刹那、理事長室のドアが開き、リュウノスケを肩に巻き付けたJJが、思いっきりニヤニヤしながら登場した。

「面白い挑戦状ダネ。桜子ちゃん。いいヨ、受けて立つサ。来週月曜日の放課後にデモ、理事長室まで来てヨ、条件の打ち合わせするサ」

三人の教師達が驚き、

「理事長!いいんですか?」

理事長・JJは、リュウノスケを撫でながら頷く。

桜子とJJの間で、空気が重たくなり静かな火花が散る。

リュウノスケが、戦いのゴングを告げるかの様に、なぁ~ごと鳴いた。

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