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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
113/243

ep.113 墓前の代紋

階段を上がりきった所に歓真寺の墓地は在り、更にその真ん中にある桜の古木の下に河内稲美会・先代組長とその妻が眠っている。

若葉の間からの木漏れ日が優しい。

山崎が召集をかけた弟分達は既に集まっており、引き締まった面持ちで彼を待っていた。

一様に皆、黒スーツ姿である。

山崎より電話を直接受けた松本(まつもと)忠志(ただし)が、サングラスを外し、切り出す。

「秀ニィ、お疲れ様です。とりあえず、信用できる義雄(よしお)信次郎(しんじろう)孝弘(たかひろ)、そして、悌士(やすし)の四人だけ集めました」

山崎は忠志が集めた弟分達を見渡し、

「忠志、無理ゆってスマンかったな。皆も、ご苦労。先に組長(おやじ)さん、拝まさしてもらうわ」

忠志達も頷く。

山崎は持ってきた花を添え、線香に火を着けた。

辺りを線香の香りが漂う。

上品な香りは、白檀だろうか。

山崎は屈むと、スーツのポケットから折り畳んだ白いハンカチを取り出す。

ハンカチを開くと、中から黄金の稲穂を模った代紋が二つ。

黙ったまま、墓前にその代紋を捧げた。

目を閉じ、手を合わせる。

忠志達も、山崎に倣い手を合わせた。

静かに時間が流れる。


山崎は目を見開くと振り返り、忠志達に告げた。

少し苦しそうに・・・。

「俺・・・は、今の組を、河内稲美会を・・・、抜ける」

忠志達に動揺が走る。

「えっ、秀ニィどういう事です?」

「アニぃ!」

「アニキ!」

忠志達は、山崎に各々の疑問を投げ掛けた。

山崎は両手を差し出し、忠志達を黙らせ、

「俺はずっと疑問を抱えてた事が有った。今日、その答が判明(わか)った。お前ら、俺の性分、知ってると思うけど・・・」

忠志がゴクリと唾を飲み、

判明(わか)ったんですか?先代を()ったの」

「あぁ、聞いてくれるか」

忠志達は、顔を見合わせると頷いた。


山崎は、今の会長がヤク中になった理由、先代の殺害の真相、そして、それに関係する岸田と播州田嶋組の存在について忠志達に話した。

ただ、雪江が裕一に強姦されている事実だけは伏せて。

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