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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
108/243

ep.108 タコさんウィンナーと林檎のウサギ

「ぁっ、このタコさんゥィンナーも食べてみて」

雪江は、タコさんウィンナーをつまみ上げる。

ある事に驚く。

「あっ、鉢巻き!ヤバい、可愛いすぎます。瑠奈先輩・・・」

「へへっ、瑠奈ちゃん特製タコさんゥィンナーだょ」

褒めてもらって瑠奈は、かなり嬉しそうだ。

実際、雪江はいたくタコさんウィンナーに感動し、作り方を教えてもらった。

「ポィントは、鉢巻きだょ」

瑠奈は笑う。

作り方を聞いていて、はっと雪江は気付いてしまった。

《あれ?アタシ、本当はまだ生きたいんじゃ・・・》


「後、定番だけど・・・、林檎のゥサギさんも有るょ・・・」

瑠奈はプラスチック製のタッパに入った林檎を見せた。

《えっ?林檎のウサギ・・・》

刹那、雪江の瞳から涙が溢れ出し、小さい頃の母との思い出が甦る。


『お母さん、アタシ、今度の大会では、ダブルアクセルは跳んでみるんだ』

『あら、失敗せずに出来るの?』

『うん、出来るようになったよ。だから・・・』

『はいはい、お弁当には林檎のウサギさん入れておかなきゃね。ちゃんと上手く跳ねれますようにって』

『やったぁ!アタシ、がんばるね。絶対、入賞するんだ』

『雪江、そのうち、トリプルアクセルとかも、跳べるようになれるといいわね』


「うっ、うっ、ひっく・・・。おっ・・・、お母さん・・・。うわぁーーーん」

瑠奈はオロオロするかと思いきや、雪江に近付くと抱きしめてやり優しく囁く。

「雪江ちゃん、ぃぃよ泣ぃて。我慢しなくて、ぃんだょ。ァタシは、ァナタの味方だから・・・。ずっと・・・」

雪江は瑠奈にしがみついたまま、泣き続けていた。

春風が優しく二人を包む。


雪江が泣き疲れた頃に、瑠奈はハンカチをポケットから取り出し、雪江の涙を拭う。

「雪江ちゃん、美人なんだから、笑わなぃと・・・」

「あっ、アタシは美人なんかじゃないです・・・。性格悪いし・・・。瑠奈先輩の方が全然女の子っぽいし、カワイイです」

瑠奈は真っ赤になって照れる。

同性から褒めてもらうのは、瑠奈にとって宝物だからだ。

「ははっ、ぁりがと。とりぁぇず、ぉ弁当食べてしまぉ」

雪江も、気を取り直し、

「はい、瑠奈先輩。さっさと食べないと、アタシが全部食べちゃいますよ。こう見えても元は体育会系ですから」

「ぇっ、ぇっ、それは困るぅ~~」


瑠奈と雪江は、きゃっきゃ言いながら、お弁当を楽しんだ。

数年後、雪江は我が子に瑠奈から教わった特製タコさんウィンナーをお弁当に作ってやる度に、この光景を思い出し、そっと心の中で手を合わせ瑠奈に感謝する事になる。

でもそれは、まだまだ先の話・・・。

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