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はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
107/243

ep.107 不器用な料理の天才

石川の堤防沿いに在る河川敷公園の芝生の上に新聞紙を広げ、瑠奈と雪江は向かい合い座る。

日差しは柔らかく、春風が心地好かった。

目の前には、鮮やかな黄色の菜の花が一面に咲いている。

瑠奈は、大きく伸びをすると、

「ぁー、気持ちぃぃ。ァタシ、この季節が一番好き。雪江ちゃんは?」

「アタシは冬生まれなので、冬が好きです」

「そーなんだ。冬もぃぃよね。雪も綺麗だし。さっ、ぉ弁当食べよ」

瑠奈は紙袋からお弁当を取り出し、広げだす。

雪江にお茶のパックを渡しながら、

「たぃしたぉ弁当じゃなぃけど、ゴメンなさぃ」

そう言って開けたお弁当の中身は、おかかと明太子のおにぎり、卵焼き、唐揚げ、タコさんウィンナー、そして、ハンバーグだった。

もちろん、全て瑠奈の手作りである。

雪江はいたく感動し、

「瑠奈先輩。コレ、全部、アタシの為に?」

瑠奈は照れながら、

「へへっ、見た目は、ぁんま良くなぃけどね・・・。もうちょっと、ァタシも、藍ちゃんや桜子ちゃんみたいに、センスが有れば、カッコぃぃぉ弁当になるのになぁ」

そんな瑠奈のセリフも気にせず、雪江はいただきますと言いハンバーグを一口。

確かに見た目は少々不細工ではあったが、そのハンバーグは雪江が今まで生きてきて食べたハンバーグよりも最高に美味しかった。

しかも、お弁当向けに作られているにも係わらず。

雪江は唸る。

「ん~~、何ですか、このハンバーグ!」

すると瑠奈は申し訳なさそうに、

「ゴメンなさぃ。口に合わなかった?」

雪江は全力で首を横に振り、

「ちっ、違います。瑠奈先輩、最高に美味しいです。もしかして、この唐揚げも・・・」

そう言って、雪江は唐揚げをパクり。

「卵焼きも・・・」

今度は卵焼きをパクり。

そして、破顔すると、

「めっちゃ美味しいです。もしかして、瑠奈先輩って料理の天才?だから、天才やクセ者揃いのF組なんですか?」

瑠奈は首をぶんぶん横に振り、

「そんな事ないょ。たまたまF組なだけだょ。使ってぃるのは、普通のスーパーでタイムサービスで買ったぉ肉とかだし・・・。ほら、ぉにぎりもどぅぞ」

照れながら、雪江におにぎりを差し出した。

瑠奈の料理の秘密のスパイスは、食べてもらう人に対するハンパない愛情である。

もう二度と食べてもらえないかもしれない。

そんな一期一会の気持ちでキッチンに立つ。

その愛情の深さが、どんなスーパーのタイムサービスで買った素材であれ、最高の旨味を引き出すのを、瑠奈は本能で知っていた。

そういう意味では、瑠奈は料理の天才と言えるかも知れない。

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