ep.105 ご褒美のコーラと北海道行きのチケット
徳野は、目を見開き、口をパクパクさせると、
「こっ、コーラでございますか?皐月様!」
「そうよ。要らない?」
「いっ、要ります。欲しゅうございます、皐月様。コーラ!」
じゃあ、このアドレスに居場所を教えてとメモ書きを残し、皐月は出て行った。
徳野は暫く呆けていたが、携帯を取り出し、あちこちに電話を掛けだした。
勿論、大切な皐月様の依頼なので、正座したままである・・・。
皐月は駐車場に停めてあった愛車のガンメタルカラーのトヨタ・セリカGT-FourAに乗り込むと、深くため息を吐き、口に出して歎く、
「ホントに徳さんて、変態ね。兄さんは知っているのかしら・・・」
エンジンに火を入れ、少し重たいステアリングを回しながら、
《とりあえず、車を置きにいかなくっちゃ・・・。なんだか、北海道行かなきゃならない気がする・・・》
皐月の予感は正しく、一時間後、先程提示したアドレスに徳野から報告が入る。
コンビニの駐車場に愛車を入れ、携帯に入ってきたメールを見た。
内容を確認し、皐月は軽く目眩を覚え、
《あー、やっぱり札幌か・・・。ん?勤め先って・・・。えっ、コレ、風俗じゃないわよね?》
皐月が目にした内容は以下であった。
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タイトル:
徳野です。
内容:
皐月様、徳です。
先程は、エビアンありがとうございました。
ご依頼の件ですが、取り急ぎ下記の事が判明しましたので、お知らせします。
福知恵美さんは、大学を辞め、現在お店にお勤めのようです。
店の名は、“スキャンダラス・S・スウィート”。
場所は、札幌・ススキノ。(詳細は次で・・・)
源氏名が“ユウ”ちゃんです。
電話番号は、011-533-XXXX。
また連絡します。
貴女のしもべ、徳より。
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皐月は、メールを閉じ、睦月に電話をかける。
「あっ、兄さん?アタシ。今日の最終の北海道・千歳行きの飛行機押さえて貰えないかしら?JALでもANAでも構わないから。ええ、行きは一枚、明日朝一の帰りは二枚で。何だったら、兄さんもどう?あら、残念・・・。アタシは、そうね・・・、後、30分程で着くわ。じゃ、宜しく」
皐月は少し残念そうに携帯を切ると、コンビニに飲み物を買いに入っていった。
頭の中は、既に札幌のご馳走で頭が一杯なのであるが・・・。