表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はねくみ☆セブン  作者: こころ龍之介
二日目
104/243

ep.104 二つのお願い

皐月が聞き慣れない言葉に疑問を抱き、

「ミテコって?」

「あー、すんません。ミテコってのは、18歳未満の未成年って事ですわ」

「なるほど、稲美裕一には、彼女はいなかったのかしら?」

「捕まる前は居てたみたいですなぁ、淡い付き合いやったみたいですが・・・。確か・・・」

徳野は内ポケットから小汚い手帳を取り出すと、唾を手に付けページをめくる。

「あっ、これですわ。福知(ふくち)恵美(めぐみ)。同じ大学の1コ下ですね。でも行方不明になってますなぁ。稲美裕一、逮捕以降。元々、北海道の女の子ですから、帰ったんちゃいますかねぇ。この女の子が居たら、あっこまで酷くはならんかったかもですなぁ・・・」

皐月は目を細め、考える。

《この福知恵美って子、必要かもね・・・》

「徳さん、その福知恵美さんの居場所、すぐ調べてくれる?費用は幾ら掛かってもかまわないわ」

徳野は、少しいやらしい笑みを浮かべると、

「皐月さん、料金はよろしおます。その代わり、二つお願いが・・・」

皐月は眉間に少し皺を寄せ、

「何?徳さん」

徳野は、少し緊張した面持ちで、

「一つは、今後、皐月さんの事、二人っきりの時は、“皐月様”とお呼びしていいですか?出来れば、私の事は、“徳”とだけ、さんは要りませんから・・・」

皐月は、クスっと笑うと、

「いいわよ、徳。私の事はご自由に・・・。もう一つは?」

「ありがとうございます、皐月様。もう一つはですね・・・。あのぅ、そのぅ・・・」

少しイラっとした皐月は、

「はっきり言いなさい、徳!」

徳野は真っ赤になって、

「はっ、はい。そのお飲みになっていたエビアンを、私めに下さいませ!」

皐月は、深くため息を付き、ほとんど空になったエビアンを徳野に投げ、

「大事にするのよ、徳」

すると、徳野はまるで宝物を扱う様に、それを拾うと感激で涙を流し、

「おおきに、おおきに、皐月様。私、大事にします」

皐月は席を立ち、徳野に近付く。

左手で徳野の顎を持ち上げ、サロメの如き妖艶な微笑みで囁く、

「徳、さっきの福知恵美さんの居場所、二時間以内で調べて。ご褒美はそうね・・・、今度は飲みさしのコーラをあげるわ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ