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クロの死神  作者: 莉子
序章
1/2

僕の仕事

僕は死神。


名前は無いのだけれど、暫定的にクロと呼ばれている。



死者の魂を刈る者。


真っ黒な姿に鎌を背負って、魂を導く。


普通の者に見えることは無く、ただ静かに対象を監視し、定められた時の前に死なぬよう気をつけ、その時が来ればその大きな鎌で魂を体から刈り取る。



それが僕たち死神の役目。



死神と言っても、その中でも役割は分かれている。


一番人気の制裁課。


文字通り、悪いことをした人間の魂を刈り取るのが仕事。


恐怖を与えるために対象の前に姿を現すことが許されていて、制服や鎌もとてもかっこいいため、やりがいがあると人気だ。



他にも対象に姿を見せない普通課、制服や鎌など仕事道具を管理する管理課、雑務を請け負う総務課、異動を担当する人事課などたくさんの課があるが、今僕がいるのは余命告知課。


余命告知課は、今まで善行を積み重ねてきた者を対象として、余命を教えることで身辺整理や、親しい者に別れを告げる時間を与えるため存在する課だ。


積み重ねてきた善行に比例して、告知する余命の期間が延びるシステムになっている。



現世に未練を残さないようにとの配慮から成ったものと言われているが、実際は結構酷いものだ。


いくら善行を重ねてきた者と言っても、死を前にして冷静でいられなくなってしまった対象が死の直前に悪行を重ねてしまったり、余命より前に死のうとしてしまったり、僕達から逃げ出そうとしたり、攻撃して来たりすることもある。


折角今まで清廉だった魂が悪行で汚れて、回収後、地獄へ引き渡さなくてはならなかったりするのはとても悲しいし、自殺しようとする対象を止めるのも大変だ。



僕達から逃げることはできないし、攻撃も効かないからそれはまだ良い。


だけど、恐怖に怯えた顔で泣かれたり殺意を向けられるのは、やっぱり気分の良いものじゃない。



それに告知から魂を刈り取るときまで対象を見張らないといけないし、拘束時間も長いから余命告知課は不人気なのだ。




だけど、僕はこの仕事が好きだ。



辛いこともあるし、大変なこともあるけど、それだけじゃないことも僕はよく知っているから。




そして今日も、僕は仕事へ向かうのだ。






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