表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/18

風じゃない(後半)

 そんなことが続いていたある夜のこと。

 深夜1時頃で、その日はバイトもなくMさんはすでに家に帰っていた。

 彼氏も一緒だった。


 二人でくつろいでいると突然、部屋のドアがそっと開いたという。

 ワンルームなので二人の眼にもそれははっきりと見えた。

 鍵をかけ忘れていたのだ。


 閉め忘れていたのは鍵であって、扉そのものではない。

 扉そのものは完全に閉めた状態であって、ラッチボルト(仮締)もカチャリと嵌まっていたのだ。この状態からはわざわざノブを回して引っ張らなければ開けられない。

 風にそんなことは不可能だ。


「誰だ!」


 彼氏が咄嗟に叫んだ途端、ドアは30度くらい開いたところで止まり、そっとまた閉まった。


 あの男だ――Mさんはそう確信した。

 あの自転車の男だ。やはり変質者だったのだ。


 この話をした友人は信じてはくれなかった。

「あのね。おかしいでしょ。扉が閉まってるのを外から見ても、鍵がかかってないって分からないよね。仮に分かったとして、『誰だ!』って言われていったん逃げた変質者が、直後にもう1回開けに来る?」

 そして、扉が鍵以外最後まで閉まっていたというのは勘違いだという。

 最初から少し開いていたのだ。それが風か気圧で開いたに過ぎない。


 いや、風なんかなかったと本人は頑強に主張する。

 彼氏だって見ていたのだ。


 あれは自転車男だったと、今でもMさんは信じている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ