いわゆる実話怪談

呼んだ？

　昔、友達と女二人でアパートの一室をルームシェアすることになったんですけどね。

　その相手が霊感がちょっとある子だったんです。

　部屋で二人でいるとき、その霊感ある友達が「窓に人がいる気配する」と言いました。

　中から窓を見た限りでは誰もいません。

　でも女の子の部屋ですからね、覗きとかが咄嗟に隠れたのかもしれないし、単に猫とかかもしれません。

　私は猫かなと思って開けてみたけど、猫も何もいませんでした。

「あたしが呼んじゃってるのかもしれない……」

　その窓の方向は、建物１つ挟んで斎場でした。

　たくさん来られたら冗談じゃないです。

　そのアパートは引っ越すことにしました。

　部屋を移ることになって、急な引越だったもんで荷物がつくまでに１週間くらいかかるってことで、Ｏ府に来て、しばらくホテルを転々としてました。ラブホです。ビジネスホテルとか高いですから。

　そのうちの一つ、Ｎ波にあるホテルでのことです。

　夜の１時頃だったんですけど、友達はシャワー浴びてて、私は部屋でくつろいでました。

　そしたら急に友達が出てきて、「なに？」って聞いてきました。

　なんのことから分からずにきょとんとしてたら、今呼んだでしょって言うんですよ。

「一言もしゃべってないよ」

　それは本当のことだし、他に誰かの声が聞こえたということもありません。

　でも友達は、あれは絶対女の子の声だったと譲りません。

　すぐ二人で部屋を逃げ出しました。

　ホテルを出てとりあえず歩いていると、おまわりさんに会って注意されました。

「危ないで！　こんな時間に女の子二人だけでこんなとこ歩いとったら！」

　事情を説明しかけると、

「ああ、あのホテルやろ。あそこホテトル殺されとるねんよ」

　って言われました。