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触れば手が沈む程に柔らかい綿の様な手触りのファンプから取れた毛を青く染めて作られたルドラの髪は彼女が首を振る動作に合わせて不自然なく靡く。


精密に虹彩までもが細工されている眼球は一定の感覚で瞼に覆われて隠される。

それがまた人間味を引き立てていた。


「凄い…自分で思ってたよりも凄い…」


ア○モなど目じゃないくらいのレベルの自動人形がそこにはいた。


ルドラは優雅な足取りで自分の前に立ったのだけれど、目を向けられない。

それは作業に没頭しすぎて服を着せ忘れていたからだ。

急いで一緒にこの世界に来たカバンから着替えのシャツと短パンを取り出して渡す。


「と、取り敢えずはそれ履いてて」


「了解しました。マスター」


暫くして着替え終わったルドラだったが、自分のTシャツは小さいサイズだった筈なのに片方の肩が露出していたりと大変なことになっていた。


身長が高くてスタイルがいいルドラだが、その身体はスラリと細くて男の自分とはやはり違うのだろう。

これは早くウルカに命じて服の素材となるデミルスパイダーの糸をとってきて貰わなければいけなくなったな。


だけど、クリアしたことがある。

それは自動人形、つまりオートマタが形になった事だ。

あとはルドラにウルカ達と戦わせてみたりして強さをみたりしながらアダマンタイトの使用量を抑えて何体か試作品を作ったしてみるのも良いかもしれないな。


やる事を一通りやり終えたあとはやはりアギステルダと言う異世界への興味が強くなっていく。


「やっぱり異世界と言ったら冒険だよなぁ…」


だけれども、自分の身体は前の世界にいた頃と大して変わってない様に思えるし、変わったところといえばMejiku(魔造の心臓/)Heart(メジックハート)を手にいれて魔力量が大幅に増えた事くらいだろう。


その為に安全とまではいかずとも、最低限の命を守りつつ異世界を冒険するにはやはり戦力が必要となる。

その為には装備を作らなければならないだろう。


となると、レーザー銃を持ち歩くだけでは心許ない。

ルドラを連れていくのは決定だろう。


あかつき島の管理は後々創る自動人形に任せれば大丈夫だとおもうからな。


そうと決まれば後は早い。

丁度ウルカ1から転移魔法陣の調整が終わり、魔結晶への魔力補充も完了したとの報告がきたことが更に行動に拍車を掛ける。


急いでルドラと同じ構造の自動人形をクリエーションする。

違うところといえば瞳と髪が紫な事だろう。

アメジストを使用した事から名前はアメジスとした。


「アメジス。あかつき島を護る為に防備を整えて欲しい。最終的には島の拡張ができるように」


「了解しました。マスター」


そこまで指示を出した時、あかつき島が大きく揺れた。


「地震かっ!?」


「いえ、海上に小さな反応を多数感じます」


アメジスは地上の様子を探ろうとしているのか仕切りに耳を済ませる様な動作をしている。


「アメジス、マスターをお守りして」


「了解しました。お姉様」


ルドラがアメジスに指示を出し、アメジスはそれに従い自分をかばう様にして立った。


「ウルカ7〜10は大丈夫か!?」


「マスター。ウルカ7〜10は何者かと戦闘している模様です」


ウルカ1は落ち着いた低音で各部屋に散らばっていたウルカ2〜6を呼び寄せた。


「よし、何が来たのか知らないけど迎撃するぞ!」


ウルカ達のサポートを受けながら階段を駆け上がるといきなり目の前の地面が爆ぜた。


「ひゃっはー!」


その掠れた声と共に飛び出してきたのは薄汚れた格好の1人の男だった。


「マスター!ウルカの後ろに隠れてください!」


ルドラが直ぐにその男の振り下ろした剣を腕で受け止めた。


「ひっ!魔物か!!」


男は直ぐに錯乱してしまい剣に込める力を強めた。

だけれど、ルドラはアダマンタイトで出来ている。

ミミックシードラゴンの皮も魔力を通すことで硬化するのだ。


「無効化しますか?それとも殺しますか?」


ルドラは真っ青な瞳を向けて物騒な言葉を口にした。

自分の中には藤四郎さんの記憶や知識がある事から殺人が絶対にダメとは言い切らないし、多分目の前で男が殺されても吐いたりしないと思うけれど、やはりここは情報が大事だ。


「いや、全員生け捕りにしよう。誰が偉いやつか分からないからね」


そう言うとルドラは小さく返事をして男の背後に滑り込む様に回り、首元に静かに手刀を落とした。


爆ぜた地面をみれば、抉れた地面のそこには鉄の球がめり込んでいた。


「これは…大砲か?」


「マスターに危害を加える者は許しません」


ルドラが先行してしまったので、すぐさまウルカにも指示を出す。


「ウルカ達は1と2を残して散開。敵を見つけ次第無力化して。アメジスも残って」


「了解しました。マスター」


自分は大砲が飛んできたであろう方向に向かって駆ける。

もしかしたらこの大海を越えてくる様な船がある筈なのだ。

それを参考にすれば船を作れるだろう。

最終的には戦艦と空母と戦闘機と戦車とその他諸々。

もうやれるところまでやっちゃおう計画である。


暫くして辿り着いた砂浜から見えたのは国旗と思われる刺繍が施されたボロボロの帆を広げた20m程の軍艦と思われる船だった。


島に入り込んだ男達を一通り捕縛したとウルカ1が報告してきた。

そこで自分達の目は軍艦に向く。


なんで軍艦が攻めてくるのか分からないが、取り敢えずは話してみないと分からない。


幸いにも畑仕事をしていたウルカ7〜10は不意打ちを食らったにも関わらず傷一つつけずに男達を無力化したらしい。


男達が上陸してきたと思われる砂浜には数隻のボートが浮かんでいた。

それにウルカ3〜10を載せて突撃させる。

大砲は狙って当たる物でもないし大丈夫だろう。当たっても核が破壊されない限り治す事ができるし。


そのあと軍艦から男達の野太い悲鳴が聞こえ、数分後には完全に沈黙した。


「マスター、どうやら制圧完了したみたいです」


アメジスが軍艦の上のウルカと何やら身振り手振りで会話している様だ。

通信機でも作った方が良いのかもしれない。


「敵は上陸したものが12名、軍艦にいた者が20名だったそうで、現在は全員を無力化して甲板に集めています」


よし、後は情報を聞き出そう。

ウルカ1と2をあかつき島に残して、残っていたボートにルドラとアメジスと自分を載せて軍艦へ向かった。













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