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「このアルミニウム合金を使って…いやでもなぁ…ただ作っただけだと人形になっちゃうし…いや、藤四郎さんの知識の中には…」


幸いにもアルミニウムのインゴットの横にはアルミニウム合金のインゴットがうず高く積まれていたのでアルミニウムにその他の金属を配合する事から始める必要は無かった。


そして今、自分が考えているのが自分の手足となり働いてくれるゴーレム創りなのだが、藤四郎さんの知識の中にあるゴーレムは単なる指示を出してそれを聞き届け、単純な作業をこなすゴーレムしか存在しなかった。


藤四郎さんはゴーレムを一体創り出すだけでかなりの魔力を持っていかれていた為に、そのゴーレムに自我を持たせたりするまでの研究は出来なかった様だ。


藤四郎さんの記憶の中では朧げだが、この世界の大陸に住む人々はどうやら魔石と呼ばれる魔力が溜まった石を中枢としてゴーレムを起動させていたらしい。

藤四郎さんもそれに倣い、魔石を脳に置き換えたゴーレムを作っていたのだが、魔石だとどうも知能を得るまでには行かなかったようだ。


藤四郎さんの知識の中には魔石の他に魔結晶と呼ばれる宝石の様な物がある。


魔力とは何かしらの意味を持つものである。

意味を持たない魔力はマナと言い、この世界の空気中に溢れている。

自分の持つ能力であるMejiku(魔造の心臓/)Heart(メジックハート)はマナを生み出す機関らしい。

藤四郎さんは一括りに魔力と言っていたが、生み出された直後はマナと呼ばれ、それを何かしらに使おうとした時に魔力となるらしいのだ。


そして空気中のマナはその地の特色に触れる事で意味を持つ事がある。

火山地帯ではマナは火の属性となり、

水のある所ではマナは水の属性となり、

氷河のある所ではマナは氷の属性となり、

大地に触れたマナは土の属性となり、

木々の多い地域ではマナは木の属性を持つ。


このアギステルダに存在する属性は判明している所では9つあり、

火、水、土、木、雷、氷、風、光、闇となる。

この属性の内、火、水、土、木、氷の五つは自然界で長い年月を経て結晶となる。

それが魔結晶と呼ばれる魔力を多く含んだ結晶体となる。

その他の属性の魔結晶はその属性を持った魔物から取れるらしい。


難しい…でも大体は分かったぞ。


だけれど、魔結晶を核としてゴーレムを創るにはかなりの魔力と技術力が必要となる為、簡単には出来ないらしい。


さらにら属性という方向性しか持たない魔結晶を核にする為にはその魔結晶に脳の代わりとなる役割を果たす魔法陣を組み込まなければいけない。


魔法陣は藤四郎さんの知識の中にあったのだが、自分からみたら大分粗が目立ち、無駄で余計な回路も多い気がした。


そして先ほども軽く触れた事だが、

魔力は金属に込める事により金属の強度を飛躍的にあげる事が出来る。

これは金属同志を繋ぐ原子の隙間に入り込んだ魔力が繋ぎとなり、金属同士の繋がりを強化するものだと藤四郎さんは考えていた様だ。

これは同時に核となる魔結晶から発せられる魔力をゴーレムの身体中に伝える為の回路の役目も果たすらしい。


そこまで頭の中を整理した所で、一旦クリスタルスカルの置いてある部屋に戻り、他の通路の先になにがあるのかも目で確認しておく。

入口の階段から見て左の通路を一とする。

一は生活スペースがあり、食料庫などもあるらしい。

ここにしまってある食料はそこまで多くないけれど、保存の魔法がかかった食料庫に食料が入っているらしいからまだ食べられるかもしれない。


二はどうやら藤四郎さんの研究室らしい。

魔法陣に関する事柄や生前に使役していたゴーレムが置かれているらしい。

自分で創る前に藤四郎さんのゴーレムを見ておくのも良いかもしれない。


三は先程見て回ったとおり巨大な素材の保管庫となっていて、四は地下の坑道へ続いているらしい。


どうやらこの島は海底まで続いているらしい。

地下の鉱脈の採掘は藤四郎さんが死ぬ時に切り上げたらしく、実際の所はまだ大量の鉱物資源が眠っているらしい。


五は植物系の魔物のプラントや動物系の魔物の育成施設があるらしい。

これは完全に独立していて、今尚土から精製されたゴーレムや岩から精製されたゴーレムが動いているらしい。


ゴーレムは起動している間、傷ついても魔力がある為再生するらしい。

特に地面が土や岩である為素材は無限にある。

それにより恒久的な起動が出来るらしい。


自分は五の通路の先にあるという魔物の育成施設に向かった。

どうやら魔物の育成施設は素材の置かれていた部屋の真下にあるらしく、一回り大きく、かなりの規模の大きさがある様だ。


魔物、藤四郎さんの知識と記憶の中にはあるのだけれどこれもやっぱり自分の目で見てみたい。

自然と早足になるのを抑えながら、五の通路を抜けた。


五の通路を程なく進むと地下への階段があり、それを更に下ると明るい部屋にでる。

だがそこは部屋というよりか養殖場のようでもあった。

ここにいる魔物は十種類程度。

植物系の魔物は頭でっかちと呼ばれる頭部が赤くそこから生える黄緑色の幹が人に近い形をした植物口裂け草(マウスプラ)

マウスプラの分泌する液体は魔力との親和性が極めて高いらしく、回復薬など作る時に混ぜると効果が飛躍的に高まるらしい。


種を高速で射出する機関銃植物(ガトリングプラント)

ガトリングプラントの射出した種は貴重な増強剤になるらしく、この増強剤は様々な薬品の効果を上げてくれるらしい。

この二種類の植物系の魔物は藤四郎が生きていた時代に乱獲され過ぎていたため、ここまで連れてきて保護したらしい。


さすが藤四郎さん。優しさが満ち溢れてる。


動物系の魔物の中には昆虫の様な魔物も居た。

残る八種類程の魔物の中の二種類は昆虫の様な魔物だった。

寝そべると自分と同じくらいの大きさがあるとわかる芋虫は古代芋虫(アンティークワーム)

アンティークワームは土を食べる。

そして食べた土の中にある細かい鉱物を体内で蓄積させる特徴を持つ為、倒した後に腹の中から宝石や鉱物が見つかる事が多く、アンティークワームも良く乱獲されていたらしい。


八本の脚を巧みに操る上半身が美しい女性の真っ黒な蜘蛛は半人黒蜘蛛(デミルスパイダー)

デミルスパイダーの紡ぎ出す糸は強靭であり刃をもはじき返すとされる。

この魔物の糸は使い勝手が良くべたつかない事から藤四郎は服などを創る素材にしていたようだ。


動物系の魔物の中で特徴的なものを二体程あげると、触れば手が沈む程に柔らかい綿の様な手触りの幻羊(ファンプ)や愛玩用に連れてきたと思われる豆猫(ビーンズキャット)豆犬(ビーンズドッグ)だろう。

愛玩用なだけでなく、食糧としても需要があるらしく他の魔物に一度に栄養を与えたいときや自分が食べる時にも愛着を捨てれば使えるようだ。


いや、無理だろそれは、と思ったので死にかけない限りは食糧としての需要はなさそうだ。

他の動物系の魔物は狼に近い魔物であったり亀の様な魔物であったりと色々だ。


そして土のゴーレムと岩のゴーレムがせっせと働いている所をみていると面白いことに気がつく。

どのゴーレムも決まった動きをしているのだ。

どうやらここのゴーレムも単一の指示を忠実にこなしているようだが、藤四郎さんはそれを何体も作り、別々の指示を与えて上手く養殖をしていたようだ。


自分は出口の通路へと戻り、次は二の部屋。

つまり藤四郎さんの研究室へと向かった。






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