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プロローグ
琴原蒼は、誰もが認める普通の女子高生である。
しかし、誰もが持っている個性(琴原蒼の場合は、能力と表した方が適切だろうか)、それが兎に角彼女の場合、一風変わっているのだ。
彼女の能力。それは、変なものとのエンカウント率が異常に高いことであった――。
ジリジリジリジリジリジリ!!
覚醒していない意識の中、目覚まし時計のけたたましいベルの音に急かされて、私はのろのろと腕を伸ばす。勿論、憎っくき朝の宿敵を倒すためである。しかし、伸ばした右腕は、目覚まし時計のボタンを押さず、空中に静止した。
ベルの音が止まったのである。
また、面倒なことに巻き込まれそうだ、と心の中で呟いてから、蒼はシーツから、目覚まし時計に目を向けた。