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折角なので遊ばれてみた

掲載日:2026/09/26


「ごめん、俺、ミネルヴァのこと好きになっちゃった」

「ええ?」

「俺と付き合ってよ」


ニコニコと微笑む目の前の男は唐突にそう言った。

彼はロラン。家名は忘れた。

どっかのお偉いの近衛騎士なんかをやっていて、華やかな風貌と柔らかな物腰が街のお嬢さんたちに人気がある。

本人もそれをわかっているから、蜜を吸う蝶のように花から花へと楽しく過ごしていたようだ。

この街一番の遊び人である。


そんな彼が私に恋をした。らしい。

私はといえば、特に何の変哲もない平凡な道具屋の店主だ。

両親が事故で亡くなり、引き取ってくれた祖父の店をそのまま継いだだけ。

愛想もなければ器量よしでもないし、取り柄といえば手先が器用なことくらい。

なぜこんな女に惚れたのかわからない。


「やめときなよ」

「なんで!」

「いやー……ねえ?」


彼と関係があったと噂される女性は皆華やかで美しい、可愛い人ばかりだった。

なんの得があって私なのか、全く理解ができない。

それなのになぜか食い下がってくる。


「お願い!お願いお願い!」

「うーん…」

「ね、ね、いったん付き合ってみよ?俺、ちゃんと楽しませるよ?あ、浮気の心配?大丈夫!ミネルヴァと付き合えるなら絶対しないから!」

「…じゃあ、わかった」


あまりにもしつこいので、根負けしてしまった。

仕方ないなあ、と返事をする。

すると、彼の顔がぱあっと明るくなった。眩しい。


まあ、どうせすぐに飽きるだろう。

それに、よく考えてみたら恋愛に手慣れた人のエスコートを体験できるなんて滅多にないし。

モテる男が一時的でも自分へ一途に愛を囁くのも悪くないかもしれない。


そんなこんなで私たちは付き合うことになったのだった。




しかし予想に反して、私とロランの交際はなかなか上手く続いた。

ロランはまるで自分がどこかの国の姫なんじゃないかと錯覚するほど私を大事に扱った。


食事は事前に段取りを決めて、予約制の人気レストランに連れてってくれるし、観劇やコンサートなどの芸術にも造詣が深くて、優雅にエスコートしてくれた。

私の知らない世界をたくさん見せてくれた。


さらにはプレゼント攻撃である。

高価なものは不要だといえば花束やちょっとしたアクセサリーなど私の好みを押さえたものばかりを選んでくれた。

その上紳士的で常に優しく接してくれて、決して自分の欲望を押し付けるようなことはしなかった。


私が少しでも嫌がる素振りを見せればすぐに手を引いて、無理強いすることはなかったのだ。

キスはしたがまだその先へは進んでいない。本当に私のことを大切にしてくれていると感じる。

彼の優しさに触れるたびに心が温かくなった。


なるほど、これがモテる男というものか。




「ミネルヴァさん、こんにちは」

「リートくん、いらっしゃい」


店に入ってきた青年に向かって微笑みかける。このパン屋の息子はいつもよく買いに来てくれている常連客だ。


「今日は何をお求めで?」


尋ねると、彼は身振り手振りしながら用件を伝えた。


「ええと、これくらいの小さい踏み台が欲しくて。あともし氷のうとかあったらそれも買わせてもらおうかなと思って…」

「なるほど、ちょっと待ってね」


メモを取りながら考える。どちらも倉庫にあった気がする。


「あ、そういえば今朝焼いたクッキーがあるよ。よかったら持ってく?」

「え、いいの?ありがとう!」


ちょうど焼いたばかりのものがあることを思い出して提案してみると、彼は目を輝かせた。


「じゃあ持ってくる」


と言って一度奥へ引っ込み、商品とクッキーを持ってきた。


「台はこれくらいで大丈夫そう?もう少し高いのもあるけど」

「うん、これくらいで大丈夫そうかな」


彼は高さを確かめると満足そうに頷いた。


「妹がね、そろそろ手伝いをしたいらしくて」

「ああ、メルフィちゃんね」


パン屋さんの小さかった女の子を思い出す。元気いっぱいの可愛らしい子だ。


「ミネルヴァさんもまたうちに来てよ」

「もちろん、また買いにいくね」

「うん、みんな会いたがってるよ」


昔から彼のご両親にはよく気にかけてもらっていた。

何度か夕飯にまでお邪魔させてもらったことがある。この店を継いでからはほとんどなくなったけれど。

懐かしいな、なんて思い出に浸っていると、不意に彼が私の手を取った。


「…ミネルヴァさん、俺…」


リートが何かを言いかけた瞬間、その間に人影が割って入った。


「ちょっと!待って待って!なにしてんの!」

「ロラン」


焦った様子のロランがそこにいた。

珍しく余裕のない表情で、私とリートの手を引き離した。


「え、近衛の…!」


リートが困惑した声を上げる。

ロランはぎゅっと強く抱きしめてきた。まるで私を囲い込むように回された腕は少し震えているような気がした。

突然のことに頭が追いつかず呆然としていると、ロランはリートを睨んだ。


「俺の彼女に触らないでもらえる」


いつもより低い声からは怒りの色が滲んでいた。

普段穏やかな彼から想像できない様子に思わず息を飲む。


「っ、彼女って…ミネルヴァさんを騎士様の遊び相手にしないでください!」


リートは一瞬気圧されながらも、ロランに噛み付くように言った。


「遊びじゃないんだけど!?」


すかさずロランが言い返す。


「遊びじゃないよ!?」


重ねるように言いながら私を見た。

その勢いに少し腰が引ける。


「えっと…」

「ミネルヴァさん、この人は絶対やめた方が良いよ。遊び人って噂、事実なんだから」


リートが真剣な目で私を見つめる。


「貴方が心配なんだ」


本気で心配してくれているようだ。胸が温かくなる。


「ありがとうリートくん…でも大丈夫だよ」

「余計なお世話ですぅ〜」

「ロラン」


口を尖らせるロランを咎めるように名前を呼ぶ。

渋々といった様子で引き下がった彼を見て、ほっと胸を撫で下ろす。

そんな私たちの様子を見て、リートはぐっと何かをこらえるように言葉を飲み込み、小さくため息をついた。


「……何かあったらすぐに言ってね。父さんも母さんも心配してるんだから」

「うん、ありがとう」

「それじゃ、これ今日のお代」


硬貨を置いて、店を出ていくリートを見送る。

まるで家族のようで、温かい気持ちになる。


後ろからぎゅっと抱きしめられた。ふわりと香る高そうな香水の香りにドキリとした。

無言でグリグリと肩に頭を擦り付けられる。

痛いしくすぐったいからやめてほしいのだけれど、拗ねているみたいなのでそのままされるがままにしておいた。


頭をワシャワシャかき回すと回された腕から力が抜けて、笑いを漏らす。


「…ふふ、髪がぐちゃぐちゃ。もちろん直してくれるんだよね?」


可愛くおねだりされてしまったので、仕方ないなと笑って頷いた。




「ロランはそろそろ飽きないの?」


ある日ふと気になって聞いてみた。


「え?なにが?」


きょとんとした顔で聞き返された。

付き合ってそろそろ半年になる。

今までの彼は1週間も経たないうちに恋人を変えていたのに、この半年間、一度もそんな話が出ない。

不思議に思って聞いてみることにしたのだが、どうやら心当たりがないようだ。


「いや、ほら、半年も経つじゃん」

「ああ…そうだね」


ようやく意図を汲み取ると、拗ねたように口を尖らせた。


「ミネルヴァはまだ俺の気持ち疑ってるの?」

「いや、そういうわけじゃないけど……」

「俺は本気だよ。本気で君のこと好きなんだから、飽きないし、別れるわけないでしょ」


そう言って私の手を取ると、指先にキスをした。

うーん、実にスマートである。

ロランの気持ちを疑っているわけではない。結局どれだけ本気だろうと飽きたら別れてしまうのだし。

それがいつなのか、知りたいだけだ。


「…パイを焼いたんだけど、食べる?」


話題を変えるためにオーブンを指さすと、彼は顔を綻ばせ、大きく首を縦に振った。


「ミネルヴァの作るパイ、大好き」


その笑顔に胸が掴まれる。ずるい男だ。


席を立って、ロランの横を通ってオーブンへ向かう。

そのすれ違いざま、するりと手を取り上げられた。

指を絡めて、私を見上げる。


「ね、今日…泊まってもいい?」


熱を帯びた瞳に、流石の私も理解できた。


「…うん、いいよ」




それからさらに2ヶ月。

建国祭の季節だ。祭りに向けて道具屋としての需要が上がり、慌ただしい日々を過ごしていた。

走り回っているため、そもそも店にもあまりいられない。


置き手紙でロランが来ているのは知っていたが、会えない日が続いた。

そしてついに迎えた当日。

私は店のカウンターでぐったりとしていた。


さすがに限界だった。

休憩しよう。そう思った時だった。

店の中に入ってきた人物を見て驚く。


「……ロラン」

「久しぶり」


そこにいたのはロランだった。

騎士服ではなく私服姿だ。それに首を傾げた。


「今日は仕事って言ってなかったっけ」


置き手紙の内容を思い出してそう言えば、苦笑される。


「『お前がいると仕事にならない』って、早めに上がらされたよ」


ロランは困ったように頰を搔いた。確かに彼に女性が群がる様が容易に想像できる。


「…疲れてるみたいだね」


ああうん、そりゃもうめちゃくちゃ忙しかった。と言いたい気持ちを抑えて頷くに留めておいた。

体を起こすと、近づいてきた彼に強く抱きしめられた。


「…会いたかった…」


もう何日も会っていなかったせいか、彼の温もりが懐かしいとすら感じる。

私もそっと腕を回す。力がさらに強くなった気がした。

しばらくそうしていたがやがて解放される。名残惜しさを感じながら見上げると目が合った。熱っぽい視線にドキッとする。


「んっ」


そのまま唇にキスを落とされる。触れるだけの軽いものだった。

何度も繰り返されるうちにだんだん深くなっていく。舌を絡ませて、互いの唾液を交換し合うような濃厚なものへと変わっていった。


「ふ、ぁ…っ」


息が苦しくなり口を離すと銀色の糸を引いた。それが切れる前にまた塞がれる。

今度はもっと激しく貪るようなキスだった。

口内を蹂躙され思考回路までドロドロに溶けていく。熱を分け合って、混ざってひとつになってしまいそうだ。


「は、っ…ミネルヴァ…」


やっと解放された時にはすっかり脱力しきっていた。もたれかかって息を整えていると優しく頭を撫でられた。


「ごめんね、疲れてるのに…久しぶりに会えて、我慢が効かなかった」


君の前では余裕のある男でいたいのに、というロランが少し可愛く見えた。


「…ね、シャワー浴びてベッドにいこう?あ、今日は何もしないよ!添い寝だけ。ゆっくり休んだほうがいい」


顔を覗き込みながら言うものだからつい頷いてしまった。

あれよあれよと言う間に浴室に押し込まれる。

ノロノロとシャワーを浴びて、寝間着に着替えてベッドに寝転がるとすぐに睡魔に襲われる。うとうとしているとロランの声がした。


「髪乾かさないと風邪ひくよ」

「うん…」


既に半分夢の中にいる私にロランは仕方ないな、と呆れて笑った。風の出る魔道具とタオルで髪を撫で、梳いてくれる。

その優しさと安心感に包まれて眠りについたのだった。




目が覚めると、目の前にロランの顔があった。

驚いて声を上げそうになるがなんとか堪えることに成功する。

そういえば、一緒に寝たのだった。

それにしても綺麗な顔。睫毛長いなぁと思いながら観察しているとパチリと目が開いた。視線が交わるとへにゃりと気が抜けたように笑う。


「おはよ」

「おはよう」


挨拶を返して起き上がると彼も続いて起き上がった。


「よく眠れた?」

「うん」


時計を見ると昼前だったので朝食兼昼食の準備をすることにする。

手伝うとの申し出があり、二人でキッチンに並んだ。


「今日はお店どうするの?」

「閉じるよ。準備で十分売上は立ったから建国祭の間はお休み」

「そっか、じゃあ一緒に過ごせるね」


ロランが嬉しそうに言った。


「屋台でも見て回る?それとものんびり家でゴロゴロしようか」


建国祭には行きたい。けれどまだ体に疲れが残っていた。


「…うーん、今日はゴロゴロしたいかな。建国祭は明日にしよう」

「明日も一緒にいてくれるの?やった」


そう言って、ロランは突然頬にキスをした。


「あ…ごめん、つい」


別に謝ることでもないだろう。

そう思って今度はこちらから唇へキスを返す。

ちゅっと音を立てて離れると、みるみるうちに赤くなっていった。その反応が面白くて笑ってしまった。


そんなやり取りをしているうちに朝食ができたので食卓につくことにした。

2人で向かい合って座り食事を始める。

会えない間は何をしていたか、お互いの話をしながら食事を楽しんだ。

ロランは昨日の夜一度家に帰ったらしい。気づかなかったが確かに昨日と服装が違う。


「ミネルヴァと一緒に寝るのに、汚いままではいられないよ」


そう言う彼に流石だなと心から感心した。


「着替えならあるから、今日はわざわざ帰らなくてもいいよ」


道具屋といえど日用品も少しは置いている。男物の服や、下着は新品があったはずだ。


「今日も泊まっていいの?」

「うん」


頷くと彼は破顔した。が、何かに気づいたかのようにジトっと私を見る。


「まさかとは思うけど…前の恋人のとかじゃないよね」

「店の商品だけど…」


そういえば、ホッと胸をなでおろした。


「よかった……」


そもそも恋人なんていた例がないのだけれど。

食べ終わった食器を片付けると、隣に座るよう促されたので大人しく従い、ソファに腰掛ける。

すると肩を抱かれ、引き寄せられたのでそのまま頭を預けるようにもたれかかった。


なんだか甘えたい気分になり彼の肩にグリグリと頭を擦り付けると、彼は一瞬固まった後、私の頭を撫でてくれた。

あまりにも贅沢な時間だ。

祭の喧騒を遠くに聞きながら、微睡む。


「ミネルヴァ…あのさ、来週の休みって…」


ロランが何かを言っているが、眠くてまともに頭に入ってこない。


「…ミネルヴァ?眠いの?」


この幸せはいつまで続くんだろう。

そんなことを考えながら、目を閉じた。




日が経つにつれ、ロランが離れていくことが怖くなる。

最初はいい経験になるだなんて軽く考えて、傷なんてつかないと思っていたのに、この様だ。


そもそも、立場も容姿も釣り合っていないのだから、夢を見せてもらっただけでありがたいと思うべきなのに。

帰っていくロランに縋り付いてしまいそうで、自分が嫌になる。


ふう、と思わずため息を吐いていたらしい。


「ミネルヴァさん、どうしたの?最近元気ないね」

「え、そう?」


店に来ていたリートに指摘されて、内心慌てた。

今日はメルフィちゃんにプレゼントするエプロンを買いに来てくれた。

名前の刺繍を入れたいというので、凝ったものはできないがそれくらいならとこの場で刺すのを待ってもらっている。


「やっぱり…あの騎士様のせい?」

「あはは、違うよ」


間違ってはないけれど、どちらかというと自分のせいなのだ。


「うーん、よし、決めた」

「え?なにを?」

「ううん、なんでも」


私の独り言に返事をさせてしまって申し訳ない気持ちになりながら、糸の端を処理した。


「できたよ。こんな感じでいいかな?」

「わ、ありがとう!あの子も喜ぶよ」


出来は悪くないと自分でも思うが、素人の作業なのでホッとした。


「ミネルヴァさん、今週末うちに夕飯食べに来ない?」

「あ、今週末は…」


その時、カラン、と店のベルが鳴る。


「やあ、ミネルヴァ…って、また君か」


入ってきたのはロランだった。

リートの存在を認めた途端、顔をしかめる。


「お客さんに失礼だよ」

「ごめん…」


そういえば、話の途中だったと思い出してリートに向き直った。


「あ、ごめんねリートくん。今週末は先約があって…」

「…そっか、メルフィも会いたがってたんだけど、残念だな」

「またお店に行かせてもらうね」


エプロンを抱えたリートを見送る。 扉が閉まった途端、隣から大きなため息が聞こえた。


「あいつ、絶対ミネルヴァのこと好きでしょ」

「ええ?考えすぎだよ。家族みたいなものだし」


わかりやすく嫉妬をして不機嫌になるロランに、まだ飽きられていないのだと安心してしまう。

このままじゃ駄目だ。

ずっと別れに怯えて、ただ苦しいだけになってしまう。


だから、決めたのだ。


「ロラン、私と結婚しない?」


ロランが目を見開いて、呆然と私を見つめた。


「私、これからもロランと一緒にいたいんだけど」


言ってやった。

心臓がうるさいくらいに音を立てている。


今までの関係のままが怖いなら、変えればいい。

駄目なら、ここで終わり。

私は、賭けに出ることにしたのだ。


すると、視界からロランが消えた。

正確には、その場にしゃがみ込んでいた。


「ロラン?…やっぱり、駄目かな」

「…や、待って。なんで先に言うの…」

「え?」

「…嬉しい、嬉しいよ!?でもちょっと待って」


ロランは両手で顔を覆った。


「俺、今週末プロポーズする予定だったんだけど!」


顔を覆ったまま、半ば悲鳴のような声を上げる。

今度はこちらが驚いてしまった。


「店も予約したし、指輪もあるし、何言うかまで考えてたのに!」

「それは…えっと、ごめん」


思わず謝ってしまう。全然気づかなかった。

申し訳ないとは思うが、肝心なことをまだ聞いていない。


「それで、返事は?」

「〜っ!結婚する!するに決まってるでしょ!」




結局その週末、私は予定通り予約された店へ連れていかれ、改めて随分と気合いの入ったプロポーズを受けることになった。

2度目とはいえ、このあとプロポーズされるとわかった上での食事は、ほとんど味がしなかった。


「恋愛なんてずっと娯楽だと思ってた。でも君との恋愛は穏やかで、楽しくて、時々苦しくて、それでもすごく温かくて…一生こうしていたい。…もう君なしじゃ生きていけないんだ」


お手本のように跪いて指輪の入った箱を差し出すロランに、思わず吹き出しそうになって慌てて両手で口元を隠した。

危ない、彼の努力を台無しにするところだった。


「ミネルヴァ。俺と結婚してください」


箱を持つ手が異常に震えている。

それに気づいた瞬間、もう笑いを堪えるのは限界だった。


「喜んで!」


そう言って勢いよく彼に抱きついて、キスをする。

ロランは驚いたように固まったあと、すぐに私の背中へ腕を回した。


「絶対、幸せにするからね」

「うん、飽きないでね」

「それまだ言うの!?飽きないよ!…もういい、一生かけて証明するから」


そう言って、もう一度噛みつくように口を塞がれた。


こうして私は街一番の遊び人の本気を、一生かけて確かめることになったのだった。

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