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悪帝の楽園  作者: 篠崎芳
12/22

消された五帝


 申し訳ございません。別作品関係の作業もありまして、最近こちらの執筆になかなか時間が取れておりません。


 ただ、先の展開が思いついていないみたいなことはありませんので、隙間時間を見つけてちょこちょこ書いていけたらと思います(遅くとも、次話は3日以内には更新したいと考えております)。






 冷帝――久遠爾エリサ。


 銀の髪と青灰せいはい色の瞳を持つ、五帝の紅一点こういってん


〝作中の女性キャラクターでは最も美少女である〟


 ――とは、花園会による(一応)オフィシャル設定。

 といってもトップ美少女票が花園会の中で最も多かっただけの話でもある。

 ファンのみならず、花園会の中でも決して票を総取りしたわけではない。


 ちなみに男性部門では〝壊帝かいてい鴉姫川あきかわミサキが花園会内の最多票を獲得。


 ただし同部門では白鐘司、言切ことぎり枝折しおり、槇嶋玲雄奈、皇泉院絢人と票が分散もしている。


 女性部門よりは意見が分かれていると言えよう。

 また――

 美しさ部門とファンの人気が必ずしもイコールでないのは、言うまでもない。


 たとえば、この久遠爾エリサ。

 公式の人気投票企画では上位に来ない。

 特にシーズンが進むにつれ、名前だけの欄に載る程度になっていく(上位キャラクターは、花園会のキャラデザ担当の描き下ろしイラストをもらえる)。


 ただ、上位に来ない理由も分からなくはない。


 まず――単純に作中での登場回数が少ない。

 もし五帝内で作中登場割合を比較する円グラフを作ったら、冷帝のところはかなり狭くなるだろう。


 実際、シーズン3の途中くらいから登場回数が激減している。

 シーズン4の中盤以降に至っては、登場すらしていない。


 これはファンの中でも、実は局所的に議論を呼んでいる。


 今でも様々な憶測が一部ファンコミュニティで飛び交っている。

 まあ、この冷帝の件は一応『えすぷり』定番ネタの一つでもあったりして――


〝消された五帝〟


 そんな風に呼ばれることも、あるくらいで。


 花園会もインタビューでエリサの話題を振られると基本、ごまかす。

 口が重い――そう取れる言い方でもあるし。

 どう話していいかわからない――そう取れる言い方でもある。

 わざとやってるんじゃないか説も出ている。

 ファンの間では、


〝登場頻度はあえて減らされていて、実はラスボスってオチなのでは?〟


 こんな考察もあるくらいである。

 ただし花園会の一人は、とあるインタビューでこう語ったこともあった。



『みなさんね、深読みのしすぎです』



 しかしファンというのは良くも悪くもメンドクサイもので。


〝これは視聴者に深読みさせないための罠発言だ!〟


 なんて意見も出たりしている。

 まあ『えすぷり』はファンが考察を楽しむ作品という側面もある。

 メインテーマ(?)の〝ラスボスは誰か?〟も、その一つ。

 花園会のインタビューや発言は、考察材料を公式側から提示する意図もあるのでは――

 アヤトは、そんな風に思うこともある。


 で、泉アヤト的に冷帝はどういう扱いかというと……

 男キャラでは言わずもがな、皇泉院絢人が不動のナンバーワン。


 そして女キャラでは――この久遠爾エリサが、一番好きだった。


 なぜか?

 理由は単純である。


 序盤、作中で皇泉院絢人と絡み多めなキャラだったから。


 といっても、二人は決して仲が良いわけではない。

 ただし序盤、絢人側についているとも取れる描写がそこそこあった。


 他の五帝は、白鐘司を筆頭に基本として作中主人公の味方として描かれる。


 一方、皇泉院絢人は悪役側。


 で、久遠爾エリサは……あえて言えば、曖昧。

 ただ――絢人を悪く思っている感じもなく。


 まあ……好意を持っているような描写も、作中では特になかったのだが。


 アヤトはなんとなく、こう考えている。


 悪帝と対等っぽく会話させられる学園キャラが、他にいなかったのではないか?


 そこで、冷帝がその役割を与えられたのではないか――と。


 が、シーズン3になると悪帝の親戚が保険医として学園にやってくる。

 以降は、この保険医が悪帝の会話相手になるシーンが増える。


 そしてこの辺りから、久遠爾エリサの出番自体も減っていくこととなるわけである。


 シーズン3の中盤くらいまでニッチな人気しかなかった悪帝。

 悪帝を嫌いな視聴者の方が多かった。

 結果〝だからエリサも嫌い〟なんて視聴者も多かった――そんな印象がある。

 一部の『えすぷり』ファンからはネットで過剰に叩かれてもいた。

 正直――アヤトはそんな扱いを見て、心を痛めてもいた。


 なんというか。


 序盤の悪役味が濃い絢人と普通に話してくれているエリサが、好きだった。


 玲雄奈と違い対等っぽく話しているのも、なんだか特別感があって。


 絢人も絢人でいつもの舌打ちは多かったが、拒絶まではしていなかったと思う。


 何より――お似合いだと思っていたのだ。


 絢人はたまに、妄想していた。



 この二人が恋人同士になる展開も見てみたかったなぁ――なんて。



 だからこそ。


 ――久遠爾エリサの再登板があるのではないか?


 そんな風にシーズン4最終話以降での〝再会〟を、期待してもいたのだ。



     ▽ 



 車での移動中にすれ違った冷帝のことを考えながら――絢人は今、皇泉院の所有する別荘にいた。


 ちなみにここは、セカンド別荘なのだとか。


 メインの別荘はもっと離れた場所にあるそうだ。

 そう、モデルとなった軽井沢は駅の徒歩圏内に別荘ゾーンがある。

 他には企業所有と思われる建物も、そこそこある。

 今回は黒薔薇がメイン別荘まで行くのを面倒臭がったとか。

 なので、こちらの洋風のセカンド別荘を使うことになったようだ。


(駅から近いってのはいいなぁ……、――ていうか、メイン別荘とセカンド別荘があるって……)


 しかもこのセカンド別荘も、泉アヤトが元の世界で住んでいた家より圧倒的に広い(そしておそらく、お金もいっぱいかかっている)。



 ……さすがは、皇泉院である。



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