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紹介召喚士夏彦さん。  作者: 入間 朱格(いるま しゅらく)
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episode1.思い出の妖怪 1

名前と地名、建物名などは変えていますがそれ以外はほぼ実話です。

この物語を今は亡き愛する人に捧げます。

少しでも多くの人たちにこの物語を読んでもらえることを願って。



私はその日、夢を見ました。


見覚えのない形の家に、見覚えのない庭、車があって、私は知らない人たち二人と手を繋いでいたのです。

私はその男の人と女の人が自分の両親だと思いました。

両親らしき人たちは、私の手をそれぞれ片方ずつ握り、私を外へ連れ出そうとしました。

でも私は、外には出たくありません。


外には出たくない。


そう声に出しましたが、私の口がパクパクと動くばかりで、声は届きません。


というより周りの音すら聞こえません。


私の声はおろか、両親らしき人達の声も、向こう側に見える外の走っている音も、何もかもが、です。

私は私の手を握っている人の顔をよく見ようと目を凝らしてみましたけれど、分かりません。


両親の顔が、わかりません。


どうしてだろう。

どうして私はこの人達が両親だと思ったのでしょうか。

私はこの人達を知らないのに、どうしてだろうーーー


ああ、そうか、分かった。


両親の顔がわからないのは、私が両親という存在そのものを、見たことがない、知らないからなんだーーー



そう思ったのと同時に、私はベッドの上で目を覚ましていました。

見慣れたベッド、見慣れたカーテン、見慣れた照明、いつもの散らかった部屋。

私は徐々にここが私の部屋だということを認識します。


変な夢でした。

本当に変な夢。


でも夢って意識がハッキリしてくる頃にはもう覚えていないんですよね。

覚えているのは変だったというその感覚だけ。


そんなこと、あなたにもありませんか?

私はかなりありますけど(笑)


私は寝転んだ体勢のまま、携帯を手に取りました。

15時過ぎ。

朝10時にはベッドに入ったはずなので、5時間は寝ていたようです。

いつの間にか昼夜逆転の生活になってしまいましたが、別に今は仕事をしているわけでもないので、困ることもありません。

そんなわけで、現在やることもなく仰向けのまま、ネットサーフィンをしているわたしの名前は、

水野里真(みずのりま)

今年の4月でようやく19歳となりました。

高校を卒業して2ヶ月、このアパートを契約したと同時に就職したパン工場の会社も、退職してもう2週間が経とうとしています。

この2週間は毎日自宅でダラダラと携帯を弄るか、ゲームをするか、アニメを見るかの3択です。

どうしてこうなってしまったんだろう、とベッドから起き上がり、テーブルの上に乱雑に置かれているポテトチップスの袋を手に取りながら、私は思ったのです。

多分こんなことをしているからかもしれないなぁ、とポテチを悪びれもせずに貪ります。

そんなこんなで、一人暮らしを初めてそろそろ3ヶ月が経とうとしている私には、両親がいません。

「いない」と言うより、「知らない」という言い方をしたほうが正しいのでしょうか。

私が物心付く前には児童養護施設に預けられていたそうで、私には知りようもありませんでした。

施設の職員さん達も、皆が口を揃えて「知らない」の一点張りだったので、本当に知らないのか、それともなにか理由があって「教えない」だけなのか、それすらも分かりません。

分かっていることは私が2歳のときに、児童養護施設「和香園」(わこうえん)に預けられたということだけです。

誰が預けたのかも知りません。

もしかしたら両親は亡くなっているのかもしれないし、実は生きていて何らかの事情でこうなったのかもしれません。


考え出すとキリがないですね(笑)






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