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はじめのはじめのだいいっぽ

初投稿です。忙しくない日更新で頑張ります。

 雨の音。ざーざーざー。

 PCのファンがぶぉおーん。

 うるさい。とにかくうるさい夜だった。うっすらと汗ばんで、けれど爪先は確かに冷えている。毛布にくるまりながら自室のドアの隙間から零れる明かりを見つめた。トイレの電気消し忘れたなぁ。気づいたけれど動き出す気にはなれず、枕元のスマートフォンを手探りで掴みとった。割れた表面が凸凹としていることに幾許かの安心を覚える。慣れ親しんだ感じだ。待ち受け画面に設定された元カレの笑顔と、その頭上に表示された時刻。0時52分。そういえば夜ご飯食べてないけど。気づいたらこんな時間か。SNSを順番に見て回る。別段面白いものでもない。頭を使いたくないだけ。ウェブ漫画さえ読む気にならない。

 なんたって、こんなにうるさい夜なんだから。


 液晶に映るのは知らない誰かの笑顔の写真ばかり。いいねを押した指で鼻の表面を撫でる。角栓がざらざらしている。人差し指でポリポリと引っ掻くと肌は少し滑らかさを取り戻した。手触りに満足して私は再度意識をSNSへと戻した。相変わらずパソコンのファンは回り続けている。ぶぉおんぶぉおんとけたたましい。雨音は納まってきたようだ。

 コンビニにでも行こうかと思案していたところ、二階から呻き声が聞こえた。アァアアァってふうに、意味を成さな声だ。こんなにうるさい夜なのに、どうしたって気になってしまう。ああ、なんてうるさいんだろう。終いには足音も遠慮なくドシドシドシ。階下の私にはお構いなしだ。

 この家に地下室がないことを恨めしく思う。まぁ、家を残してくれただけありがたいと思うべきなのだけど。目を瞑ってみたけれど、ドシドシアァアアァぶぉおんぽつぽつぽつ。脳の中で暴れだした擬音が頭蓋を削る。寝返りを打つと、重なった両脚がべたつき摩擦を生み痒みを帯びた。限界だった。私は毛布を払いのけ部屋を出る。階段へ続く廊下は自室より余計シンと静まり返っていた。足裏が冷えるのを感じる。

コメントとかしてくれる人が好きです。よろしくお願いします。

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