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開かれた扉

「もうすぐ……もうすぐ会えるのね。千年に一度この地に降り立つ希望の光よ」


暗闇の中にポツンとそびえ立つ神々しく光を放つ大樹の前にひとりたたずむ少女は、祈るかのように目を閉じ、胸の前で手を組んだ。


「この世界と彼の者が住まう世界を繋ぐ道が開かれる時、あなたは現れる。」


そう言うと、少女は閉じていた目を静かに開け大樹に向かって手を広げた。


「もう……この世界は永くは持たないわ。だからどうか、ーーーー。この世界を助けて」


少女は、涙を流しながら誰かの名前をつぶやくとそれを最後に少女の体は吸い込まれるかのように大樹の中にへと消えていった。



✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲



いつもと変わらない朝。 今日も、私の1日が始まる。

窓から差し込む朝日に目を覚ますと、ゆっくりと体を起こして腕を広げて思いっきり体をのばした。


ベットから出ると私はそのまま1階に降りていき、洗面所に行くと顔を洗った。

まだ少し眠かったけど、冷たい水で洗ったらスッキリと目が覚めた。


目が完全に覚めたところで台所に行って朝ごはんの準備だ。

今日の朝ごはんは、トーストに昨日の残りの卵スープ。

いつもと変わらないメニューだ。 やっぱり朝はパンに限るね

食べ終わると「ごちそうさま」と呟いてから食器を台所まで持っていって洗うと2階に戻って制服に着替えた。


出かける準備が整うと出かける前に1階の寝室に行って奥の方に置いてあるお位牌の前まで行くと座って手を合わせた。


「お父さん お母さん今日も、私は元気に生きてるから。だから安心してね……行ってきます!」


元気よくお父さんとお母さんに挨拶をすると私は家を出た。


私はかんなぎ冷雪。高校2年生。両親は私が中学1年生の時に交通事故で亡くなった。

まだ未成年ということもあって最初はお母さんの妹……つまり私の叔母にあたる人が引き取って面倒を見てくれることになったんだけど、私がどうしても両親と過ごした思い出のある家を無くしたくなくて叔母さんに頼み込んでそのままこの家で過ごすことを許可してもらった。


私は、周りの環境にすごく恵まれていると思う。生活費とかも叔母さんが月に2回届けに来てくれていて、感謝してもしきれないね。


「つな…………が……る……」

「え?」


不意に耳元で声が聞こえた。私は、反射的にバッと後ろを振り向いた。だけど後ろには誰もいなかった。声の出処を探そうとキョロキョロと周りを見渡すも、周りにも誰一人居なくて私しかいなかった。


……おかしい。こんなに人通りなかったっけ?

いつもならもう少し人通りがあったはずなんだけど。

気のせいだったのかな?

いや、でもはっきりと耳元で聞こえたんだよ。気の所為なんかじゃない。


何故か、嫌な予感がした私は少し早歩きでその場を離れようとした。

そしたらまた声が聞こえた。今度は頭に直接響くような声だった。


「せか……いが……つなが……る」

「さっきから一体何なの? よくわかんない声が聞こえてくるのに誰もいないし……勘弁してよほんとに」


周りを見渡しても誰もいないのに声だけがどこからか聞こえてくる状況に少し恐怖を感じた私は全力でその場から走り出した。


マジでなんなの? なんかよくわかんないけどあの場所に留まっちゃいけないって私の第六感が告げてる!

何か面倒なことに巻き込まれそうな予感がして、急いで離れようと全力疾走していた目の前に急にものすごく大きな扉が現れた。


「はぁぁ?!何よあれは!!!」


全力疾走していたところに急に扉が現れたのにびっくりして急いで速度を緩めてなんとか扉に激突することも無く目の前で泊まることに成功した。


はぁはぁはぁ。あっぶな! 急に現れるから扉に思いっきり正面衝突するかと思ってめっちゃ焦ったじゃん。

深呼吸をして乱れてた息を整えると、目の前にそびえ立つ大きな扉を見上げてみた。


めっちゃでっかい……。どっから出てきた訳? 手品……にしては周りに誰もいないし、私は手品できないしな。

まぁ、そもそも私が手品できたとしてもこんなに大きな扉を私の進行方向に出す意味わかんないしな……。


うーーん。不思議な扉を前に首をひねりながら腕を組むと、とりあえず扉の周りをぐるっと一周してみた。

おかしなところはないし、普通の扉……なのかな?

観察してみたけどどこもおかしなところは見当たらない。

まぁ、こんなところにひとりでに扉が立っていること事態が既におかしな状況なんだけど……。


「世界の鍵……今……開かれる」

「いたっ!」


また声が聞こえて来たと思ったら急に胸の当たりが痛み出した。


「何? 胸があつい!」


そしたら今度は胸の当たりが熱を持ち出して熱くなってきた。苦しくて「うぅ」と唸りながら胸を押さえていたら急に胸の当たりが光出したかと思ったら私の中から光の玉が出てきて、その中には光鍵が入っていた。


「鍵? なんで私の中から……」


呆然とその鍵を見ていたら鍵は扉の中に吸い込まれるように消えていきその瞬間、勢いよく目の前の扉がバンッ!と開いた。

急に開いた扉にびっくりして体がその場に縫い止められたように動かなかった。


扉から風が吹いていた。「風?」と不思議に思って首を傾げた瞬間、扉の方に吸い込まれるように私の後ろから突風が突き抜けた。


「わぁぁぁ!いったい何!?」


突風に晒された私の体は風に押されるように徐々に扉の方へと押し出されるように向かった行った。

なんかよくわかんないけどあの扉の中に入ったらまずいような気がする!

そう思った私はせめてもの抵抗で足に力を入れて止まろうと思うものの風の力が強すぎてあまり意味がなかった。


そうして小さな抵抗をしていたら業を煮やしたのか今までよりも強力な風が吹き荒れて私の体が浮いた。

浮いたと思ったら勢いよく扉の方に吸い込まれて行った。


「わぁぁぁぁぁぁぁ!!!! ちょっぉぉぉとまってぇぇぇ!!!」


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