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親友の頭のネジがどこかへ行った

コメディ色強めのラブコメです。

*作者のギャグセンスは保証しません。

親友は不屈の精神を持っている

「やばい、もう我慢出来ない」


ある日、親友と家でゲームをしていると親友が突然頭を抱えてうずくまりだした。

こいつ薬でもヤッてんのか?


「なっ!お前というやつは!

薬に手を出すなんて見損なったぞ!

とりあえず警察を呼ぶか!」


とりあえず迫真の表情をしてみた。


「は、はやく、ヤクを…って!ちげえよ!

つーか、マジで携帯弄るのやめろ!

怒られるだろ!」


「じゃあシラフで頭抱えて蹲ったの?

それはそれで引くわぁ」


「んぐ!だってよ!

もう我慢ならねぇんだ!」


「はぁ、仕方ねぇなぁ。

5分待っててやるから早くトイレに急ぎな」


「ふっ、5分もかからねえ…って!何の話だよ!」


「何ってナニかな?」


「下ネタやめろ!」


「乗る方が悪いと思いまーす」


「く!こいつめ!」


「で、そろそろ本題入れよ」


「こ、こいつ、いけしゃあしゃあと!」


「ハリーハリー俺達の時間は有限だよ!」


「お前がボケるからだろが!」


コレ以上ボケると可哀想だし、大人しくしてやるか。


「はいはい、悪かったよ。

で、何が我慢出来ないんだ?」


と言っても、大体の察しはついている。


「実は…俺…篠塚さんを好きなんだ」


やっぱり。


「うん、知ってる」


「え?」


「だから、知ってるって。

逆に高校入学してから約1ヶ月経ったけど、毎日ねっとりとした視線を篠塚さんに送ってたのに気付かないとでも?」


「ねっとりとした視線なんか送ってねえよ!」


「まあ、ねっとりかどうかは置いといて視線を送ってたのは事実だろ?」


「あ、あぁ」


「で、どうするの?告るの?」


俺は持っていた携帯を床に置いた。


「当然だ!この気持ちは抑えられない!」


「よし!よく言った!」


「おう!」


「では、篠塚さんのご登場です!」


「は?」


俺がそう言うと扉が開かれ、そこには篠塚さんが立っていた。


「えと、あの…」


「し、篠塚さん!?なんでここに!?」


「くっくっくっ気付かなかったのか?最初のクダリで携帯を触った時に篠塚さんの親友である榊原さんに頼んだのさ」


「なんで!?」


「そんなのどうでもいいだろ?

そんなことより目の前の篠塚さんだ」


「んぐっ!?」


親友は固まって篠塚さんの方に向き直る。


「し、篠塚さん!高校入学してから一目惚れしました!好きです!付き合ってください!」


対する篠塚さんは…


「え、えと、あの、その…ごめんなさい!」


「ちょ、ちょっと待ってよサラ!」


そう言って走って帰ってしまった。 

榊原さんも篠塚さんを追って走っていった。


「があ!?」


そして親友は膝から崩れ落ちた。

あー…うん。


「んじゃゲームの続きやるか!」


「おまっ!ふざけんなよ!」


親友は俺に掴みかかってきた。


「きゃあ!篠塚さんの次はワタシ!?

移り変わりが激しい人ね!」


「気持ち悪い声出してんじゃねえよ!

どうしてくれんだよぉマジでぇ」


威勢が良かったのは最初だけで、今は泣きそうだ。

流石に罪悪感が…

仕方ない元気つけてやるか。


「1回フラれたぐらいで女々しいやつめ。

お前の気持ちはその程度か?

むしろコレはチャンスだろ。

接点がクラスメイトということ以外、何一つ無かったのに、今日の出来事によってクラスメイトから【告ってきた人】にランクアップだ!」


「いや!【振った人】としてランクダウンだろ!」


「チッチッチッ、好感度っていうのは元の好感度からの差で通常以上に好意を抱くように出来ている。

良くある話だ。

普通の人がゴミ拾いするより、不良とかがゴミ拾いしてる方が何か良いだろ?それと一緒だ」


「なるほど?と、いうことは?」


「今、下がってしまっている好感度を利用すれば…」


「凄い!お前ってやつは天才だな!

俺のためを思って敢えての行動だったんだな!」


「…当たり前だろ!」


「よし、そうと決まれば…

すまん!今日はもう帰るよ!

準備があるからな!」


そう言って親友は帰っていった。


「…何の準備だ?」


……


親友が帰った後、風呂に入りながら今日の出来事を思い出す。


「割と勝算があると思って告らせたんだけどなぁ」


元々、告白の場を設けたのは榊原さんからの【お願い】があったからだ。


篠塚さんは極度の人見知りで、特に男性恐怖症の気もあり、このままでは親友として心配だから、それを解決するためにも篠塚さんに好意を抱いている親友を利用したいから手伝って欲しい。


というのが、【お願い】の内容だ。


いや、【お願い】というか脅迫に近かった気がするけど…まぁ、いいや。

俺としても親友の恋を応援したかったからな。


結果は散々だったけど…


――翌日


「好きです!付き合ってください!」


親友は教室で花束を篠塚さんに向けながら叫んだ。


あの花束どっから出したんだ?

割とデカいけど、通学中は持ってなかったよな?

カバンの中にでも入ってたか?

というか、フラれた翌日に告白って…


「ひっえっ……ごめんなさい!」


そう言って篠塚さんは榊原さんの背後に隠れてしまった。


ざわつく教室、再びフラれた親友は…


「あ、花は好きじゃ無かったかな?

なら、この指輪を…」


「馬鹿かお前は」


俺はポケットの中から高価そうな指輪を取り出す親友の頭を叩き、胸ぐらを掴み耳元で話す。

何故か黄色い声が聞こえるけど無視だ。


「フラれた直後に告白するな馬鹿」


「あ、流石に1日は置いた方が良いか。

ありがとう、次に活かすよ」


「いや、そういうわけじゃ」


何かがおかしくなってしまった親友の目を覚まさせようとするが、教室のドアが閉まる。

そこには先生がいた。


「おーい、もう予鈴なってるぞ。席に座れぇー」


「くっ」


目を覚まさせるのを一旦諦めて席に着く。


どうやら親友の頭のネジはどこかへ行ってしまったようだ。

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