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只今、監禁中です。  作者: やと
第六章 鮮血の美少女

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 その結果、


「ハァ……ハァ……」


 十数分間の逃亡の末、どうにか警察官から逃げ切ることに成功した。だが、その代償は大きい。

 無駄に体力を消耗した事と、どこに自分がいるのかがまた分からなくなってしまった。

 適当な道を走り抜けて来たために、まったく見たこともない住宅街に迷い込んでしまったようだ。


 来た道を戻るのは有り得ないし、とりあえずは大きな道路を目指して進んでみよう。そしたら道も何となく分かるだろうしな。


 ……。


 これは想像以上に過酷なゲームかもしれないな。先が思いやられるよ。



 ――適当な道を駆け足で進んで数分、車から降ろされた大通りに出ることが出来た。

 この道路を辿って歩けば、さっきまでいた場所に戻れるだろう。まったく、余計な時間を割いてしまった。


 腕輪に表示されている時間は……『08:43』だ。


「……え?」


 マジか。もうこんなに時間が経ってんのかよ。夜まではまだまだだが、ゲーム以外のことで時間を割くとは計算外だった。

 体力も心配ではあるが、面倒ごとを避ける意味も含め、ここは頑張って走った方がいいな。


 タッタッタッタッタッ。


 軽くランニングをする程度のスピードで俺は走り出す。


 すると、「オハヨウゴザイマース! お天気いいデスネー! 今日はランニング日和デース!」


 歩道をしばらく走っていると、突然横からランニングシャツと短パンを着た黒人のお兄さんが現れた。

 こんな寒い時期にそぐわない格好だが──近所の大学に留学してきた陸上部の学生とかかな?

 せっかく面倒ごとを避けようと走っているってのに……とはいえ、無視も出来ない。


「おはようございます」


 それとなく話しかけないでオーラを出しつつ挨拶をする。


「あなたは陸上部デスか? もしくは忍者デスか?」


 残念ながら空気を読むということはなく、彼は俺に興味津々のようだ。今日は変な人によく会う。


「いいえ。陸上部でも忍者でもありません」


 早く興味をなくしてもらうように、わざと冷たい態度で対応した。


「ハーハッハ! 面白いジョークデース!」


 誰もジョークなんて言ってねえよ。日本語分かってんのか。


「ちなみに私は忍者デース」

「忍者なの!?」


 予想外の言葉に驚愕して横を振り向く。


「ハーイ。十六代目の服部半蔵デース」

「絶対に嘘だろ!?」


 そもそも忍者が名乗ってんじゃねえよ。


「本当デース。忍者占いでは服部半蔵だったのデース。きっと私の足の速さは忍者の生まれ変わりだからデース」


 それは絶対に遺伝子のおかげだよ。

 しかも忍者占いって……もしかすると、大学で日本人学生に騙されてるのかもしれないな。

 もうここは適当に話を合わせておくか。


「へえ、忍者なんて凄いですね! 服部半蔵さん!」


 笑顔を作って明るく言った。


「ハーハッハ! 忍者だなんてジョークに決まっているでショウ! 本当に信じていたんデスカ?」

「あ゛ああん!?」


 日本に来た純粋な青年が、悪い日本人に騙されているのかと同情したってのに、俺の方がよっぽど純粋だったみたいだな。


「オオ! そんなに怒らないでクダサーイ。悪気はなかったんデース」

「うるせえ!」


 黒人に怒声を飛ばし、距離を離そうとしてスピードを上げる。


 だが、「許してクダサーイ」


 追いついて来たのでスピードを上げる。


 だが、「勘弁してクダサーイ」


 追いついて来たのでスピードを上げる。


 だが、「私の名前はペペと言いマース」


「本当に足はえーな!!」


 走っても走っても余裕な顔で追いかけてくるので、俺は一旦足を止めて話すことにした。


「あのねペペさん。俺忙しいの。だから付いて来ないでくれませんか!?」


 分かり易くハッキリと正直な思いを伝えた。


「ハーハッハ! そんなに気を遣わなくても大丈夫デース」


 つかうべきなのはお前なんだよ、お前えええ!


「あぁっ!!」

「!? やべぇっ!?」


 前方から叫ぶ声がしたかと思えば、視線の先には先ほどの警察官がいた。俺と目が合うと、突撃するかの勢いで自転車に乗り迫ってくる。

 ちょうど近くの信号が青だったこともあり、俺は慌てて横断歩道を走って渡る。


「ったく、あんたのせいで見つか──って、何であんたも逃げてるんですか!?」


警察官から逃げる俺の横に、またしてもペペが走っていた。


「実はビザが三日前に切れているんデース」


 なんてこったい。


「てことは不法滞在じゃねえかよ! さっさと強制送還されちまえ!」

「そうもいかないのデース。故郷にいる家族のためにも働かないといけないのデース」


 留学生じゃなく、ただの出稼ぎだったのか。


「何でもいいから、逃げたきゃ一人で逃げろよ! 一緒にいたら俺まで怪しまれるだろ!」

「悪いことをしてないのなら、逃げなければいいと思うのデース」


 そうもいかないから言ってるんだよ。


「くそっ!」


 今日は本当にツイてない日だ。悪戯好きの神様がわざと俺の邪魔をしているではないかとすら疑ってしまう。

 第一、あの警察官がこの町にいるってことすらおかしいだろ。大人しく千億町の辺りだけをパトロールしとけっての。


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