第二章 待て
と、言い忘れたことがありましたので、ここですこし、約束事の付け足しもしておきます。ちなみに、この章の文章にも一切の虚偽はありません。
八、ノックスの十戒とヴァンダインの二十則は無視
前の章で色々と約束事を並べましたが、ここで一つ注意。本小説の約束事はあくまでここで挙げたものだけを考えます。筆者も読者も『第一章で挙げた約束事さえ守れば何をしてもいい』と考えてください。
というのも、推理小説には、ノックスが書いた『ノックスの十戒』、ヴァンダインが書いた『ヴァンダインの二十則』という有名かつ優れた約束事がありまして・・・本小説には、そこで禁止された項目に引っ掛かる部分があるのです・・・勿論、どこが引っ掛かるかは、ここでは触れませんが。
とにもかくにも、『本小説が二十則や十戒に違反していても文句は受け付けません』とここで宣言しておきます。
参考までに、『ヴァンダインの二十則』と『ノックスの十戒』を少しだけ紹介しましょう。
『ヴァンダインの二十則
一、謎を解く手がかりは、明白に記述されなくてはならない。
五、論理的な推理によって犯人を特定しなければならない。偶然によって、あるいは暗号、理由のない自供などで事件を解決してはいけない。
六、必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と推理によって事件を解決しなければならない。
七、長編小説には死体が必須。
八、占い、心霊術、読心術などは使用不可。
十、犯人は重要な人物でなくてはならない。
十一、端役の使用人を犯人にするのは禁止。
十二、真の犯人は一人。但し共犯者は可。
十四、殺人の方法、探偵する手段は合理的、科学的であること。
十六、余計な情景描写は省くべき。
などなど』
『ノックスの十戒
一、犯人は始まりのほうで登場しなくてはならない
二、超自然の能力を使用してはならない
三、秘密の抜け穴や通路が二つ以上あってはならない。
四、未発見の毒薬や難解な機械を用いてはならない。
五、中国人を登場させてはならない
六、運及び第六感などによって事件を解決してはならない
七、探偵自身が犯人であってはならない。ただし犯人が探偵に変装する場合は可。
八、読者に提示していない手がかりを用いて解決してはならない
十、双子、一人二役などの変装は、読者に知らされなければならない
などなど』
さて、約束事の付け足しは終わりました。
お待たせしました。いよいよです。
ノックスだとかヴァンダインだとか御託をたくさん並べましたが・・・果たして何が待ち受けているのか?きちんと、犯人を一人に絞り込めるのか?犯人の名前はアタルカナ。