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その王女、冷遇してもいいですか?①



 目が覚めると、茶色の天井が視界を埋める。窓からは、太陽のほのぼのとした

光が入っているので、晴天の朝のようだ。


 僕は冒険者登録してから宿をとり、そのまま寝た。

 ベットから起き上がり、埃を払う。

 生憎、あまりよい宿ではなかった為かベッドと部屋は埃っぽい。


 今日は昨日見た市場で買い物をする予定だ。

 僕の所持物は、旅をするには少々どころか、かなり頼りない。幸い、所持金はまだまだ余裕があるので買い物は問題なくこなせそうだ。


 「ふぁーー」


 僕は、あくびをしながら部屋の扉を開ける。

 部屋と同様、少し埃っぽい廊下と階段を進み、宿を出る。


 全く、どんな掃除をしているんだか、宿変えようかな?


 宿を出ると、街は物凄い活気に満ちていた。

 道を歩く人は異様に多く、店もこれでもかと物品を売り出している。

 昨日もこの街に活気はあった。流石はこの王国の主要都市であるとは思った。


 だが、今日の賑わいは昨日のものとは根本から違う、まるで祭りのような活気が街中を満たしていた。


 「すいません、今日は祭りかなにかですか?」


 流石に、この異常な賑わいを疑問に思い、適当な人に質問した。


 「ああ、祭りとは少し違うかな。確かにお祭り騒ぎだけど、これは王女様がこの街に来るからなんだ!」


 この、男性もこの祭り騒ぎに釣られてか、それとも素なのか上機嫌だ。

 成る程、王国つまりこの国の王女がこの街に来るのか、そうなると、この馬鹿騒ぎにも頷ける。


 王女、まあ王族が地方の例えば、この街のような街に来訪するというのはかなりの大行事なのだ。

 何故なら基本的に王族は王城から出ることがない、そんな王族ひきこもりが首都である王都を出て、地方まで出てくるのだ。これは騒がずにはいられないというわけだ。


 まあ、興味は全くない。


 でも、これはラッキーだな、これだけ賑わっていれば、値下げをしている可能性が高い。


 そう思って、早速、俺はめぼしい店へと足を運ぶ。

 僕は店に入って、陳列された商品を手にとって見ている。


 僕が欲しい物はランプやテントなどの、旅の必需品。なんにしろ、野宿が出来るようにしなければならない。


 そうは言っても、僕だってかなりお坊ちゃんだった、何が必要かなんて詳しくは知らない。

 こういうのは、野宿をしているところをイメージしてみるのが一番いい。


 そういうわけで、必要になりそうなものを適当に見繕って購入していく。さっきも言った通り、持ち金にはまだまだ余裕があるので多少無駄をしても問題はない。それもあって、僕は躊躇いなく買い物を進める。


 その躊躇いのなさは自分自身が苦笑する程だった。



 ▽▲▽



 そして完成したのは、山のような荷物。


 「はあー」


 自分でも呆れ返る荷物の量は、ため息をつくには十分だった。流石に買いすぎた。結局、新調した三つのバッグの中に恐ろしい、重量の物質を詰めてしまった。

 その荷物は、僕の小さな体で持てるギリギリだ。宿まで持って帰るのは相当の重労働だ。とは言っても、路上に置きっぱなしにすることは勿論出来ない。

 僕は、仕方なく二つの手で三つのバックを持ち上げる。


 このまま金を使えば案外、金が尽きるのは早いかも知れない。そうなったら、何で稼ごうか?まあその時はその時だな。

 

 そんなことを思案しながら、筋力を酷使して街道を歩いていると、前方からそれはそれはきらびやかな馬車が来るではありませんか。


 「うっわ」


 つい、言葉が出てしまったが、あの馬車の正体は想像が易い。

 

 王女だ。


 そして、もう面倒くさいことになる予感しかしない。

 

 辺りを見ると、分岐路はない、最早前か後ろかの二択しか存在しない、だが、僕は大荷物を持っている。後退しても、恐らく馬車に追い付かれてしまう。


 もういいや、前進!

 

 考えることを放棄して、前へ進む。

 近くなっていくにつれ馬車がパレードのごとく続いている。

 視界をずらすと、住民がひざまずいている。皆さん、王女に敬意をお持ちのようだ。

 僕は、別にいいかな兎に角荷物が重いので先を急ぎたい。

 

 足を進め、僕と馬車が交差した時だった。


 「お前、が高いぞ。頭を下げろ!」


 馬車の衛兵から、怒鳴られた。

 ほえ?

 何故だ、何故今、俺は怒鳴られた。


 「え、あの僕は別に王女を敬ったりしてないので……」


 「あん?」


 衛兵のおっさんからカチンという、音が聞こえた気がする。

 最近、スッゴい怒られるのは何故だろう?


 「お前、王女殿下の無礼に続き、敬称も付けないないなど。不徳が過ぎるぞ」


 衛兵は鞘に収められた剣を抜いた。

 はいっ、面倒事確定!


 そのまま、彼は斬りかかってきた。

 一つ、思ったんだが、都会の奴等って血気盛んな奴が多いのか?

 2日連続で攻撃されるってのは、お尋ね者ぐらいだぞ。


 とは言っても、今回はあのギルドの酔っ払いのようにはいかないだろう。

 何故なら、まず俺は大量のそして、過重な荷物を持っているのだ。敏捷性は幾分も落ちる。次に今回対峙しているのは、王女を護るために派遣されてる衛兵なのだ、酔っ払いよりも強い筈……………、何だと?


 一言で言おう、弱すぎる。


 何だ、それは?

 弱い、遅い、拙い。


 斬撃にキレはない。酔っ払いの方がまだ、マシだ。

 体重移動が出来ていない。それではまるで力が籠らないだろ。

 おまけに、狙いはぶれぶれ。逆に避けずらい。


 ああ、分かった。僕が子供だと思って、適当に打ったのか、

 舐めてんじゃねえ。そっちがそうなら、僕も挨拶してやるよ。


 「『展開:睡魔(バースト・スイーパー)』」


 シャドウウルフを夢へ誘った、攻撃だ。

 王女の護衛を任された、エリートな衛兵様なら簡単によけられるだろ?


 バタッ




 ……おい、嘘だろ?


 


 

次回:その王女冷遇してもいいですか?②

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