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その挑発、ガン無視してもいいですか?

遅れて申し訳ありません



 見えた。


 街道の終わりに見えたのは、そびえ立つ城壁。


 先程出た、シャドウウルフなどの魔物の被害を防ぐ為に建てられ、大きな街には必ず存在する。


 ここが恐らく、村で言われた、タロックという街だろう。もうすでに夕日が沈みかかっていて、空のオレンジが刻々と闇に飲まれていく。


 村の奴が言ってた通り、1日で着くことが出来た。


 そのまま、街の大門へと向かう。

 大門では、幾人かの衛兵で検問が設置されている。

 

 これも大きな街ならば必ず行われている。主に盗賊などの犯罪者を街に入れない目的があるが、一番は交通料金が採れるというのが一番らしい。

 大門を通る人が全員が金ずるになるのだから、この街を統治する者にとってはウマウマだろう。


 僕は、その金づるの一人になるため、検問所を訪ね。


 「若いもんが一人か。街に入るのか?」


 僕を担当した衛兵は中年のおっさん。


 「はい、そうですね。」


 「身分証はあるか?」


 僕は村で発行したものを懐から、提示する。


 「預かるぜ。っな、お前成年してるのかよ、そんな身長で!」


 失礼だ。僕の身長は12歳の頃から変わっていないので低い。かなり低い。

 正直、大人とはとても思えない程だ。


 「はい、身長の事は言っちゃ駄目です。」


 「しかも、これ発行したの未成年の時のだろ。成年になったなら身分証を新しく作れよ。」


 なんか、ごちゃごちゃと言っているが、身分証を発行してもらえばいいのだろう。


 「それでは、どこへ行けばいいですか?」


 「冒険者ギルドでいいんじゃねえか。肩書きだけでも冒険者になれば、冒険者ギルドが保証してくれるからな。」


 つまりは冒険者ギルドとやらに行けばいいのだろう。


 「冒険者ギルドは街に入って左だ。それと通行料は銀貨2枚な。」


 やはり、金は取るんだね。少ない路金の中から銀貨を2枚取り出して、おっさんに渡す。 


 「確かに。それじゃあ、ようこそ王国東端の街タロックへ。」 


 おそらく、そのセリフは決められたものなのだろう。その語感の割に気持ちがこもってなかった。


 大門を抜けると、そこには見事な街並みが姿を見せた。

 既に日が沈みかけているので、店を締め出す店主もいるが、多くが声を張って接客をしている。


 僕は、村から出たことがなかった為、こんな大規模な市場に来るのは初めてだ。

 そこは、様々な人が行き交い、自分達の求める物を探し、そして少しでも上質な物を、と思い商品を吟味している。

 この風景をもう少し拝見しておきたかったが、まあそれはいつでもできるから。


 僕は、衛兵のおっさんから聞いた、冒険者ギルドとやらに向かうべく大門から見て左へと足を進める。


 歩いて数分、そこには他の建物に比べ明らかに人の出入りが多い場所があった。

 上の大きな看板に『ギルド』とあるので、ここで間違いないだろう。


 店に入ると、中は酒場のようになっていて、夕暮れだというのに席は冒険者であろう、屈強な者達によって埋まっている。


 全く、こんな時間から飲んでるとか、不健康極まりないね。


 僕はそのまま、受付まで行く。

 その間、酒場に座る、冒険者から妙に視線を感じる。まるで、嘲笑うかのような視線に少々イラットきたが、まあこういう時は無視するのが鉄則。


 「すいません、冒険者登録をしたいのですが、」


 「ハッハハハ」

 「おい、あの坊主が冒険者登録だとよ、」

 「馬鹿もいるもんだな」


 ああ、だから視線を感じたのか、僕を子供だと思い、身の程をわきまえない野郎だと勘違いしたのか、

 僕の前に立つ受付の女性は渋い顔をして、


 「あ、あの坊や冒険者は大人がすることだから、子供じゃ出来ないんだよ。」


 あやすように優しい声でそう言うが、

 僕、成人してるから、問題ないよね。


 「問題ないです。」


 「おい、坊主いいから帰んな。ここはお前みたいな奴がいていい所じゃないんだよ。」


 「問題ないです」と答えたからか、冒険者の一人が立ち上がり俺に言う。


 「そうよ、あのおじさんの言うとおり。冒険者は子供じゃダメなのよ」


 いや、ですから


 「あの僕、成人してるんですよ。」


 「へ?」

 

 受付嬢はそれを聞いて、声を出して驚嘆している。


 「ああん?テメエそんな嘘吹いてないで、さっさと帰れ。」


 僕は身分証を出し、証拠を提示する。


 「え!?」


 受付嬢はその身分証を見て、驚嘆が驚愕に変わり眼を見開く。

 さっきから、失礼極まりないよね。

 悪かったね、身長が低くて。


 「分かってくれました?それじゃあ冒険者登録お願いしまーす。」


 「え?、あ、はい、少々お待ちください。」


 流石に規定通りの年齢に達している者の注文を、断ることは出来ないようで、すぐに冒険者登録用だと思われる書類を引っ張り出すために奥へ向かう。


 受付嬢の方は直ぐに状況把握をしてくれたが、問題はこっちだな。

 後ろにいる男は、一歩ずつ僕との距離を縮める。


 「ああん?成人してるなんてどうでもいいんだ!そんなちっちぇえ体で何が出来るんって言ってるんだ!」


 こういうのは、本当に困る。

 酒に酔っているからこそまだ許せるが、こういう言い掛かりは兎に角うざい。


 「おい、聞いてんのか?」


 いいえ、全く。


 「聞いてのか聞いてんだよ!」


 男は更に声を荒げ、遂には拳を作り殴ってきた。

 手を出しちゃダメだよね。人として。


 あ、でも僕幼い頃に友人殴ったんだった。テヘッ、


 無視すると決めたが、このまま殴られる訳にもいかない。

 僕は、背後から迫る拳に対して垂直に右へと動くことで回避。


 「っな!」


 まあ、僕みたいなガキに自分の攻撃がよけられたのは予想外だったのだろう。

 何より僕は、この男の方を見ていない。視覚を使わずに男の攻撃をよけたのが、あり得ないとでも思ったのだろう。


 だが、僕の行動で男が冷静になることはなく、逆に火に油を注いだ。


 男は右足で振り上げた。こいつ、マジになってる。

 まあ、よけるのは造作もないことだ。先程と同様、難なく躱す。


 その後、この男の攻撃を僕が躱すというのを何テイクかして、受付嬢が戻ってきた。


 「お待たせしまし、え?」


 受付嬢は僕等の『一方的な殴り合い(無傷)』を見て絶句している。


 「えっと、あのこれは、一体?」


 「そんなことより、冒険者登録お願いします」


 後ろの僕を殴ろうとしている奴は無視してほしい。

 

 「いや、ちょっと。ひっ、わ、分かりました」


 無視してくれなそうだったので、眼力で黙らせた。


 その後、僕は男の攻撃を躱しながらも、冒険者登録を完了し、冒険者ギルドを出た。


 僕が店を去る時に、皆唖然としていたが案の定無視した。 


 そのまま僕は宿をとって寝た


 

次回:その王女、冷遇してもいいですか?

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