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ドロップアウトにうってつけの日  作者: クサカゲロウ
2/8

午前前

 マンションの一階の駐輪場に来た。スマホで時間を確認すると7時50分。割とギリギリだ。

 またこの暑い中を自転車で全力疾走しなければならない。本当ならもっと早く家を出ればいいのだろうけどギリギリに行くんだ。当たり前だね。あんなところにずっといたら頭がおかしくなるよ。

 毎朝毎朝、どうして学校になるとこんなに苦痛なんだ。クソったれの教師やエゴたっぷりの女やセックスしか興味のない男しかいない。それでいて日中のほんとんどをそこで過ごさねばならず、それが終わったら予備校ときた。まったくやってらんないね。

 いつものように自転車に鍵を刺して押し込む。位置の確認なんかいらない。毎日やっていることだから。

 スタンドを蹴って道路に飛び出した。学校までの道はほとんどが河川敷の堤防だ。信号がないのはいいけど風が強い。そのせいで朝セットした前髪がボサボサになる。暑いと汗をかいてまたクセが蘇ってくるんだ。

 平日の朝でも老人たちは誰が置いたのか分からないベンチで談笑している。彼らは一体何を楽しみに生きてるのか。人と生産性の無い話で時間を潰すだけの毎日なんか僕には耐えられないね。

 そんなこんなしているうちに学校に着いた。校門から見える時計は8時15分を刺している。30分までは遅刻じゃないから余裕だね。


 玄関で革靴を脱いで学校指定のスリッパに履き替える。

 このスリッパは学年によって色分けがされていて、僕たちは青色だ。高校生ともなると年齢による違いなんてものは少なくなるから、こうして分けられていると分かりやすい。不特定多数のガキどもを大人が扱いやすいようにする工夫だ。

 階段で4階まで上がる。まったく何の拷問なんだろう。学年が上がるにつれて階も上がっていくなんて、それでいて登り降りは階段なんだ。

 息を切らしながら階段を登って教室に入る。すると他のみんなはもう席に座っていて、更にもう担任がいて、僕に遅いなんていってきやがんだ。体育会系この担任は頭まで筋肉でできてるのか、自分が中心に世界が回ってると勘違いしてやがる。こいつが言うに15分には席についておけって、だけどほとんどの生徒が早く来てもバカ話をするかスマホでゲームするかで、僕からしたらそんなことをするために朝早くから来るなんてキチガイだね。

 40分になって、担任が朝礼を始めて偉そうに話をし始めた。またどうせ頭の悪そうなことを言うんだ。ほら、話し始めた。

「たとえ結果が出なくても、努力しているやつは評価する。」

 努力を評価するだって!どうやって評価する気だよ。そもそも努力なんて他人が測れるものじゃない。自分しか分からないんだ。基準もないしね。結局は担任の主観なんだ。だから遠回しに媚びてるやつを評価するって言ってるのと同じだね。

 それに、誰だってやりさえすれば出来るようになるんだ。やってできないって言うんなら、それは努力の方向が間違っているのさ。この担任はそれを正さずに肯定しようとしてるんだ。つまり、やっても出来ないヤツっていうレッテルを貼ろうとしてるんだ。まったく何の冗談だよ。あいつは本当に頭の中が筋肉でできてるんだな。

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