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マヨネィズと約束

「後任は見つかりましたか?」

「へ?あぁ!はいっ。

キューズさんの婚約者さんに、仕事を引き継いでもらえる事になりました。

彼女の牧場は、今修行されている彼女の親戚の方に任せるらしくて、キューズさんと彼女が結婚するのを機に、その方があちらの牧場を継がれるらしいです。」

「まぁ、良かったですわね!」

「はい!来年あたりにはその方の修行も終わるらしいので、その後で私は花嫁修業に入ります!

とは言っても、礼儀作法などは母から昔少し習ってましたので、思い出す作業が主になると思いますが…今はキューズさんのお母様に料理を習っているのです!」

「まぁ、お料理ですか!」

「はいっ!でも、私が作るとイマイチ味が決まらなくて…」

「ん~…?」

「少し味を見てもらっても?」

「まぁ!よろしいのですか?」

「えぇ!是非、アドバイスをお願いいたします!」

『勇気があるの…エミリアは…』


そうして、キャロル様を交えた私達は、牧場の食堂へと移動する。


「これは今朝、私が作ったポテトサラダです。」


そういって出されたのは、色合いの綺麗なポテトサラダ。


「まぁ美味しそう!いただきますわっ!」

「…頂きます。」

『頂こう。』


それぞれ手に持ったスプーンで一口掬って口に放り込む。

塩コショウが効いているが、確かに私の知っているポテトサラダではない。


「リンゴでも入れてみようか、とも思うのですが…」

「うーん…私は、野菜は野菜、果物は果物で食べたいので、それには賛同いたしかねますわ…

代わりと言っては何ですが、万能調味料を教えて差し上げますわ!」

『そんなもんも知っとるのか?エミリアは…』

「…まさか…?」

「まぁ、合う合わないはあるのですが、だいたいの物には合いますわ!」

「おっ!教えてくださいっ!」

「えぇ。その万能調味料こそ、マヨネーズですわっ!

「…!やっぱり…!?」


早速、エプロンや器や道具の他に、卵、油、お酢を用意する。

後は簡単、お好み適量をまーぜませっ!

流石牧場!

新鮮素材で、追加で何も入れなくてもそのままでも凄く美味しそう!

出来上がった新鮮なマヨネーズをたっぷりとポテトサラダに混ぜ込む。


「っ!!!!素晴らしいですっ!エミリア様!!」

「でしょう?」

「本当に私が作ったポテトサラダなんでしょうか…?」

「えぇ。コレの応用で…こう!」


側にあったピクルスを刻んで入れてみる。


「あぁ!」

「こ…これはっ!」

『なんじゃっ!?』

「タルタルソースですわっ!」


ちゃちゃっと、今宵の御夕飯の材料であろう小魚の下処理をして、粉をまぶして、油で揚げていく。


「す…すごい…!」

『!旨いな!!』


ミィタとヒルデ様の賛辞に鼻高々の私は、じゃんじゃんと魚を揚げていく。

何か考え込んでしまったキャロル様も、手と口は黙々と動かしている。

魚は熱々だが皆、ハフハフと口に入れていく。

皆徐々に無口になって、黙々と魚を食べきってしまった。

夢中になっていたが魚が無くなった所でひょっこり現れたQのお母様に怒られて、池の主様の所まで新たな魚を貰うべく出発する事になった。

申し訳なさそうにヒルデ様は馬で、私とキャロル様はミィタに乗って高原を駆ける。


「エミリア様…?あの…!」

「はいぃ?何でしょう!?もう少し大きい声でお願いいたしますわぁ!」

「あの…!」

「何ですのぉ?聞こえませんわぁ!」

「ですからっ!」

「はいぃぃい?」

「もういいです…」

「へぇぇえ??」

「大丈夫ですっ!」


私のお腹を抱きしめたキャロル様が何かを言いたげな様子を見せていたが、聞き直している間にどうでも良くなったらしい。

キャロル様が自然の風を感じたいと言ったので、普段なら風魔法で結界を張りミィタの背に揺られても会話位難なく出来るのだが、今日はゴウゴウと耳元で唸る暴風に髪を乱されて、景色を見る余裕もない。

駆け足程度だと思っていたが、ソコは普通の馬ではなかった様子。

前回も急いだが、今回は魔法なしで、呼吸もし辛くて、アップアップする。


しっかし、流石人外のヒルデ様。

彼女が「魔法の結界なしでも馬の駆け足程度なら会話もできますよ?」とか、余計な事をキャロル様に教えていたので見本として彼女も魔法未使用なのだが、普段は全く素振りもないが、このスピードと暴風を物ともせずに颯爽と馬で駆けている。

と言うか、この位のスピードを出さないと、夕飯に間に合わない。


超特急で、湖に辿り着き湖の主様に大笑いされながらも、新たな魚をたんまり貰う。


『僕も、一度、そのマヨネィズってのを食してみたいものだね。』

「ならば、明日はサンドイッチを作ってまいりますわ!

主様お嫌いな物は?」

『ん~特にないよ?僕は、魚も食べるしね~。』

「分かりましたわ!」

「エミリア様の料理が食べられるのですか!?

ならば、ショーン様とのデートも明日はここにしますっ!」


おぉ…彼女の父親と3人デート(厳密には違うけど…)

ショーン様、頑張れ…


湖の主様と、ミィタも同様に思ったのか、妙に遠い所を眺めている。

ハッと気が付くと、日差しの色が、オレンジがかって来ている。


「私は牧場に魚を持って帰るので、エミリア様とキャロル様、ミィタ様はこのまま宿にお戻りください。

今日は、殿下もショーン様も居られないので、遅くまで引き留めるのは危ないですし…」

「…っは!お兄様に怒られますわっ!では、お言葉に甘えまして…

ヒルデ様もお気をつけて!」

「フフッ!私は大丈夫ですよ!これでも強いんです!

ではまた明日!サンドイッチ楽しみにしています!」

「ヴァイオレット先生に…怒られる…?」


力瘤を作ってニカッと豪快に笑っているヒルデ様と、首を捻っているキャロル様が対照的で面白かった。

明日は、大量にサンドイッチを作る必要がありそうだ。

宿に戻り、夕食をとった後、ファーブに明日のサンドイッチ用のパンや具材、マヨネーズの材料を準備してもらえるように頼む。




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