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テストと旅行と牧場と

そうして再びテスト週間。

今年も、ペーパーテストと実技試験、両方とも全力で立ち向かった!


何だか、テストって前世を思い出して、手抜きとかできないんだよねぇ~

血沸き!肉躍る!テスト イズ 祭り!!な感じ。

まぁ何事もなく今年も終わりました、テスト。


「エミリア様!」

「キャロル様。どうされました?」

「あの、えと…」

「ん?」

「あの~」

「はい?」

「……」


いつまで経っても話し出す気配が無い。

どうしようか迷ったが、とりあえず話題と場所を変えてみる事にしてみた。


「とりあえず、結果の張り出されたクラスまで参りますか?」

「…はい。」


何か聞き辛い事なのだろうか…?

まぁ良いか。

結果は、実技もペーパー試験も何事もなくトップを守りきった。


この、4人の組み体操ピラミッドの1段目も見慣れましたわ・・・

だから、トップを取りたいとおっしゃるのに、何故実技の試験を棄権するのか!?

ちょっと私には意味が分かりません…


恒例になりつつあるこの光景だが、今年はキャロル姫が2位にいる事で少し様子が変わっているようだ。


「一位おめでとうございます、エミリア様。」

「キャロル様こそ、二位おめでとうございます。」

「ありがとうございます。

国にいた時に勉強した範囲だったのですが、エミリア様には敵いませんわ。」

「まぁ、そんな。」

「あぁ、ここにいたのかい?キャロル姫。」


嬉しそうな顔で近寄ってくるのは、殿下とショーン様だ。

殿下は、今回は二位で少し悔しそうだが、それでもキャロル姫に褒められて、鼻高々だ。

ショーン様は三位だが、点数的にそう差がある訳でもないらしく、特に思うところはなさそうだ。

男性陣の一位を掻っ攫ったのは、隣国から留学してきたヘイアン様だった。


「やぁ、相変わらず麗しいね。エミリア嬢?」

「まぁ、ありがとうございます。ヘイアン様。

それと、一位おめでとうございます。」

「いやなに、大したことはないよ。」


にこやかにヘイアン様が現れた途端、キャロル様が静かに後ろに下がったのが分かった。

ヘイアン様に手を取られて、甲に唇が落とされる…直前に、跳ね飛ばされた。

突進してきた黒い塊になすすべなく、危うく地面に激突するところだった。


「へぁっ!」

「っおい!」


転ぶ前に、抱きとめてくれたのは、ファルだった。


「ありがとうございます。」

「いや、怪我はないですか?」

「えぇ。助かりました。」

「いや、エミリア様に怪我をさせると、兄に雷を落とされるので…」

「まぁ!フフッ。」

「いや、冗談ではなく…」


そんな冗談を言い合っている後ろでは、リリーとアリアネス侯爵令嬢によるヘイアン様争奪戦が繰り広げられていた。


「あたしも!あの!おめでとうございますっ!」

「私も!ヘイアン殿下が一位をお取りになられた事、心より嬉しく思いますわっ!」

「あぁ、ありがとう。」


真っ黒なバラを制服の胸に挿したリリーと、黒に近い紫のドレスに身を包んだアリアネス侯爵令嬢が、我先にとヘイアン様にお祝いを述べている。

そのあまりの迫力に、ヘイアン様以外の、殿下をはじめ、キャロル様、ショーン様など、教室にいた人たちが驚きに固まっている。

そんな中でも、ヘイアン様だけは、平常運転で、にこやかに二人に応対している。

その様子に、何故か微笑ましい感じを受ける。


「二人とも、ありがとう。

どうだろう?この後、時間があるのならば、一緒にランチでも?」

「「よろこんでっ!!」」


ほぉ~さっすが~

スマートに誘って、食堂へ連れ去っていく姿は、一種感動物だった。


『ワシなら、あの二人と飯を食いたいとは思わんな…』


ミィタの声に、教室に残っていた人々が、全員無言で頷いたことは言うまでもなかろう。


そのまま、恒例の親睦旅行の日になった。

バスの中で、殿下に話しかけられる。


「どうされました?ディーン様?」

「実はな、私は高原に着いても生徒会の仕事がある為に、なかなかキャロル姫と一緒に行動することが出来なくてな…?」

「分かっておりますわよ。一緒に行動いたしますわ。

でも、キャロル様はそれで宜しいのかしら?こちらで勝手に決めてしまっては…」

「あ、いえ。私はエミリア様と行動できて嬉しゅうございます。」

「まぁ!嬉しいですわ!どこか行きたい所はございまして?」

「では…あの、温泉…」

「まぁぁ!キャロル様も温泉がお好きですの!?」

「…も?エミリア様もですか!?」

「えぇ!もう!私、一人ですが温泉同好会会長を自負しておりますの!」

「素敵ですっ!是非私も、会員にしてくださいませっ!」

「分かりましたわ!キャロル様は記念すべき会員ナンバー、1ですわっ!」

「きゃぁぁぁあ!ありがとうございますっ!」

「ちなみに名誉会員は、ウィリシュ様ですわ!」

「ウィリシュ…様?」

「えぇ、文官科4年の先輩ですが、御存じではないですか?

ウィリシュ・ライトブルー様です。」

「ライトブルー…公爵家の!?」

「えぇ、彼女はまだ令嬢ですが。お父上は公爵様ですわ。」

「令嬢…??」


途端に、キャロル様の顔色が悪くなる。

横に座った殿下が、「酔ったのか!?」とワタワタしている。


「大丈夫でございますか…?」

「…はい…」

「キャロル?」

「っひっ!んな!何でもございませんわ!ちょっと酔っただけです!

風に当たれば治まりますわ!」

「…そうか。」


前の席から、リリーとアリアネス侯爵令嬢に挟まれて座っていたヘイアン様が、よく通る低い声で、キャロル様を呼ぶ。

それに大袈裟な程に驚いたキャロル様は、さっさと窓を開けてそよそよと吹きこむ麗かな風を髪に受けていた。


高原に着き、自由時間になる。

リリーとアリアネス侯爵令嬢は、バスから降りて早々にグイグイとヘイアン様を引っ張って花畑の方へ歩いて行ってしまった。


「参りますか?キャロル様。」

「えぇ。」


私達は、ヘイアン様とは離れた牧場の方へ行く事にする。


『キャロルは馬に乗れるのか?』

「練習はしているのですが、誰かが手綱を引いて下さらないと、まだ怖くて…」

「まぁ…」

「エミリア様は?」

「私は乗る練習すらしておりませんわ!」

『胸を張る所ではないの…』

「そうですわね。」

『キャロルは常識人だな…』

「あら、私も常識があると思いますが?」

『まぁ…なくは無い、か?』

「・・・・・・まぁ良いですわ。牧場まで少し距離がありますし、馬車にでも乗ります?」


苦笑いのミィタを放っておいて、キャロル様に提案をする。


『ワシに乗れば良い。キャロルも。落さんぞ?』

「まぁ!私も乗せていただいてよろしいのですか?」

「えぇ。ミィタならば、落される心配もございませんし。安心なさって!」

「ありがとうございます。」


そうして、ミィタの背に乗り、牧場まで揺られていった。


「まぁ!エミリア様!居らっしゃい!そちらの方は?」

「お久しぶりです。ヒルデ様!こちらは、私のお友達で、キャロル様ですわ。」

「初めまして。」

「まぁ!初めまして!

私、湖に居るこの国の守護聖獣を父に持つ、ブリューヒルデと申します!

どうぞヒルデとお呼びください。」

「聖獣様…の?」


牧場に着くと、巨大な牛の陰から、足元に羊をチョロチョロと纏わりつかせたヒルデ様が現れた。


「こちらへどうぞ!またお茶にしましょう?あ!キューズさん!」

「あぁ、ヒルデちゃん。お客さん?」


相変わらずのナマズ顔にホヤァッと毒気が抜けていく思いがした。


「お久しぶりです。去年もお邪魔いたしましたわ。」

「あぁ!ショーンさんと一緒に来られた方ですね!お久しぶりです。

今日は、ショーンさんは?」

「彼は、生徒会があって、明日辺りにはこちらに顔を出せるのではないかしら?」

「へぇ!彼は生徒会に入ったんですね~確かに彼は賢そうだったしなぁ。

明日会えるって、良かったね?ヒルデちゃん。」

「も、も~!!キューズさんっ!」


真っ赤になってプンプン怒っているヒルデ様に、笑いながら手を振ってQは、厩舎の方へ去っていった。

それを見送った後で、私達は以前も座ったテーブルに着いて、温かい紅茶に口をつける。

ホッと落ち着いた所で話を切り出した。



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