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ギルドで登録

嬉しくて小躍りしてしまいそうな体を押さえて、私はファーブ達の待つカフェへと向かった。

前世小市民だった私は、今世では欲しい物は名前を言えば何でも頂けるような環境にいた(勿論後で家に請求が行く)が、何となく、あの貯金の楽しさを知っている。

小金を稼いで、自分の好きなモノを買うあの充実感!


「という訳で、ギルドに登録に行きますわ!!」

「まったく、エルリック様あのひとは、お嬢様に何を吹き込んでるんだか…。

しかし、お嬢様。ギルドに冒険者登録をするにも、王都では目立ち過ぎて、バイオレット公爵家の面白い噂が立つ可能性もあります。

ここは少し王都から離れた所の方が良いかと・・・」

『エミリアはお嬢様だからの~。

やはりお転婆だと噂が立てば、父母や兄弟に迷惑がかかるやもしれんしな。』

「その通りですわね!!盲点でしたわ!

でしたら、レッドハーツ公爵領のギルドへ行きましょう!」

『おう!』

「お嬢様、なぜ、レッドハーツ公爵領なのでございますか?」

「ん~?何となく、あそこは隣国と距離的には一番近くで、面白そ・・・ぐふんっ!森が深くてややこし・・・え~と、沢山の依頼がありそうじゃない!」

『本音が駄々漏れとるの。』

「わかりました。それにあそこは王都から最も遠い都市ですしね。」

「そうなの!それよ!!」

『今、思いついたんじゃな。』

「ん~?」

「分かりました。では、明日の休みに…」

「今から行きましょうよ!」

「『今!?』」

「えぇ。本日の授業は終了いたしましたし、もう週末ですもの!

今日は、あちらで登録を済ませて、宿屋で泊まって出来る事なら依頼書もじっくり見てみたいじゃない?」

『面白そうじゃな。』

「では、学園の手続きをしてまいりますので、少々お待ち下さい。」

「ありがとう。ファーブ!」


ファーブを待つ間に簡単な旅支度を済ませる。

簡素なワンピースをチュニック風に着て、裾を縛るタイプのズボンとしっかりとしたブーツを履いて、ナウなシカさんやバルスな世界の人たちのような格好に近い服に着替えた。

こうなると、長い私の髪は三つ編み一択だろう。

カチューシャがあれば完璧っぽいけど、余計な荷物は要らない。

こうして、私達は、ミィタに乗って早速、レッドハーツ公爵領へ向かった。



馬車で一週間かかる道のりも、ミィタにかかれば夕方までにはレッドハーツ領に着いた。

下町で二番に豪華な、ルビーのハート亭の部屋に宿を決めた。

普通の宿屋は一泊5銀の所、ルビーのハート亭は、一泊25金とお高い部屋だが、各部屋にシャワー付き内風呂があるのが特徴で、この世界では、貴族の館以外は共同風呂(要は銭湯)というのが常識な為、致し方ない出費だ。

他の亭では城下一のレッドダイヤ亭しかこの内風呂完備を謳っていないのだが、流石に王妃や領主御用達のレッドダイヤ亭は一泊250金と破格で、手も足も出なかった。

家族が一緒の時でないと、泊まれそうにない。


部屋自体はシンプルな飾りも何もない部屋だが、売りの内風呂にはアメニティが充実しているらしく十分だと思う。

流石にお高い部屋なので、空きがある事を確認し、先にギルドに向かう事にした。

ギルドの3階にも部屋があるらしく、そこも内風呂があり設備的にはルビーのハート亭を大きく下回るらしいが、そちらは価格が5金と、5分の1なのだ。

そちらが空いていれば、そっちの方が得なのでそちらにしようと思う。

ギルドに向かう前に、先に腹ごしらえをする。

その席で、ファーブには、「そんなに切り詰める必要はないのでは?」と言われたが、ここは気持ちじゃん?と思う。


そして、やってきました!

ギルド!!


「来ましたわ!ギルドですわ!」

「まずは、ギルド登録でございます。」

「えぇ。」


ギルドの基本まできっちりと調べ上げているファーブに案内されて、受付の前に立つ。


「いらっしゃいませ。初めてですか?」

「いえ、私はAランクです。お嬢様の登録お願いします。」

「あ……はい。」


調べた訳ではなく、本人が登録済みでAランクだったようだ。

身分証と同義の重さを持つ、ギルドカードを翳しながらお姉さんの視線を私に向ける。

ファーブにぽぉっとなった受付のお姉様が、私の方を向く。


「登録で良ろしかったでしょうか?では、説明させていただきます。」


流れるような作業で、お姉さんはマニュアル通りの説明を施してくれる。


「まずは、魔力の測定を行いまして、こちらのカードをお渡しする事になります。

このカードは、これから行います依頼を達成されると記録され、謝礼金の支払いや国を移動される時には身分証にもなりますので、無くさないようにお願いいたします。

初級は、Gランクからとなります。

目安として、討伐、採取などの謝礼金100金溜めるとFランクに上がります。

この謝礼金は使用して無くなってしまっても、ギルドカードに記録されていますので、一度受け取られたら減っても大丈夫です。

Eランクに上がるには200金。

Dランクへは更に300金とあがります。

しかし、Cランクに上がる時には1000金、Bランクで2000金、Aランクで3000金となります。

これは、Cランク以上になると、仕事の危険度が倍垳に難易度と共に、跳ね上がる事を意味します。

更にその上にSランク、SSランクなどございますが、これらのランクは王に認められた方のみに授けられることとなります。

この謝礼金換算制度は、ギルドに登録される方達の命を守るための制度である、とご了承くださいませ。」

「はい。」

「では、まず、こちらに手を翳してください。」


そう言って、お姉さんが机の下から出してきたのは、直径30センチ位の大きな透明な球だった。

球専用と思われる、綺麗な水色の座布団に鎮座したソレのデカさに一瞬目を剥く。

が、ここは腐っても公爵令嬢。

未だに動揺は収まらないが、驚きは無表情の仮面の下に押し込んで、その球に手を翳す。


「ゆっくりと魔力をこの球に溜めるようなイメージで、送り込んで下さい。」

「はい。」


そっと、球に水を入れるようなイメージで、魔力を球に注ぎ溜めていく。


「無詠唱…それにこの色…」

『ほぅ。綺麗な蜜色じゃな。』

「そうですね。黄金色に輝いて、艶めいて、それでいて清廉な透明で…お嬢様をそのまま表したような魔力です。」

「量も十分です。ありがとうございました。」

「いえ。」


球いっぱいに注ぎ終わると、満足して手を離す。

それを見て、お姉さんは目を丸くした。


「まだ余裕がありそうですが?」

「そうですね?それ程、疲れてはおりませんわ?」

「…そうですか。でしたら…貴女のランクは初級からDランクスタートとなります。」





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