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力試し

「では、本日の授業はここまで。」

「「「「ありがとうございました!」」」」


初めての魔法学の実技授業が終わった。

この授業には気合が入っていた為、ホッと息を吐いた。

お兄様が教鞭をとるこの教科は、私にとって、前世でも未知であるためワクワクが止まらない。

危険が伴うこの授業では、入学してから今まで、座学でみっちり理論やその危険性を詰め込んでからの実技となるため、他の授業より進度は遅めだと思う。

しかし、領地に居た時にしょっちゅう街歩きなどをしていて、知らぬ間に体力と筋肉が付いていたらしい私にとっては、待ちに待った実技。


この学校は、最初の2年間は、入試の成績や家柄の順でランダムにクラス分けが成される。

つまり、成績が上位で家柄も高位である者からA・B・C・・・と、騎士科や淑女科、文官科、医薬科、侍女科、魔術科など、学科関係無く一クラスに放り込まれて行く。

各々の専門課程に進むのは、後半の2年である。


なので、今日の魔法学の実技も、騎士科や魔術科を希望する者は爛々とした目をして楽しそうに、淑女科や侍女科を目指す体力の無い少女達はゲンナリと、お兄様に目をつけられないようにそこそこに授業を受けていた。


しかし、今日の授業は予想より不発だった。

なぜかみんな、ポッと指先に小さな炎を灯す簡単な課題に、汗をダラダラ流して、長い呪文を詠唱し、必死になっていた。


・・・あら?

色々と考えてみるに、思い当たる事はあった。

この世の魔法は、己の体内にある魔力を、想像力と創造力を働かせて練り上げ、ポッと体外に放出する現象で、理論的には、呪文というのはその想像力を掻き立たせ、創造力を底上げする力があるらしいのだが・・・


私は前世では、テレビやパソコンで色々なモノを見ているし、あまつさえ、実際に前世に生活していて積み上がっている経験が物を言い、想像力は相当あると自負している。

多分、核兵器並みの爆発も、津波のような大水も、天災といわれる程の災害でさえ、私の魔力と想像力を持ってすれば、再現可能だろうと思う。


勿論それに伴う結果も分かっているから、あえてしようとは思わないけど・・・


しかし、私は忘れていたけれど、今世でろうそくの炎や、松明など見た事が無かった事を思い出した。

中世ヨーロッパ的な世界観ながら、この世界は魔法があるため、物を燃やさなくても明るい安全な光を作り出すことが出来る。

もしかすると、彼らの想像力が無いのは、そのためなのかもしれない。


しかも、私は今世の淑女教育の賜物で、刺繍など想像した物を具体的に作り出すといった作業も経験済みだから、何となく創造の方もクリアできると根拠のない自信があった。

結果、やはり呪文の意味は分からなかったが、想像力だけで難なく、ライター級の火はポッと出来てしまった。


また、一段と私の周りの空間が開けた気がしたが、ボッチの加速化が激しい昨今では、もう気にもならなくなってきた。

唇を尖らせて、炎をお兄様に見せた。

その後、苦笑したお兄様の指示により皆より一足先に、次の課題である水の中に池の鯉を掬ったウォーターボールの作成をして、成果を見せに行こうと足を踏み出した時だった。


目の前に現れたのは、魔法メンドクサイ、適当にサボってしまいましょう?おほほほ。と高笑いして、コソコソしていたアリアネス侯爵令嬢と仲間たち。


「まぁ、そんな簡単な課題を自慢げに御披露なさって恥ずかしくございませんの?」

「恥ずかしい・・・ですか…?」

「あら、当たり前ではございませんか!皆、出来るのに、王太子殿下より先に進んでしまえば不敬だと思い、態々ゆっくりと課題をこなしていると言うのに・・・」

「良いではございませんか。

あまり殿下を気になさると、殿下にプレッシャーをかける事になりかねませんわ。

その方が不敬ではございませんか?」

「まぁ!なんて傲慢な態度でございましょう!」


全く・・・といった態度で、肩を竦めてため息をつく姿に、一瞬マンガの様だと思ってしまう。

こんな事実際にする人なんて、ちびのまるい女の子のクラスの花○君位だと思っていた。

別の意味で、茫然としていた私に追い打ちをかけるように、彼女は話し出す。


「そのような細々とした魔法で、自慢げになられておられる聖女様はとても滑稽でしてよ!おーっほほほほほ!!」


高笑いのまま去っていくアリアネス侯爵令嬢と仲間達は本当にマンガなお嬢様だ・・・と、固まってしまった。


授業が終わるまで、私は井の中の蛙なのか・・・?と、上の空で考え続けていた。

そんな私に、授業終わりのお兄様が、苦笑して私の頭を一撫でした。


「お前の魔法は十分凄いぞ。」

「ですが、狭い学園しか知らない私には、基準が分かりません。」

「アリアネス嬢の言った事は気にするな。」

「そうは言いましても・・・お兄様・・・」

「ん~?ならば、ギルドに登録して、自分がどれほどのモノか、客観的に判断してもらうと言うのはどうだ?」

「良いんですの!?」

「あぁ。ってお前は知らんのか…。この学園では自主性を重んじる。

んで、ギルドへの登録も自由だ。親に金をせびれない貧乏貴族の子息や、腕試しをしたい騎士科を目指す生徒達は、入学早々ギルドに登録して、ランクを上げて、外で自分の腕を試して、小銭稼ぎも同時に行ってるんだぞ?」

「えぇ!!楽しそう!」

「だろうな。ふっ!お前ならそう言うと思ったよ。」

「早速!登録してまいりますわ!!小銭稼ぎ!!楽しそう!!」

「ちゃんと、ファーブとミィタ殿の許可をとるんだぞ?」

「はーい!ありがとう!お兄様!!」




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