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刀剣巡り

作者: 蝎鳥

 此処は冥界の白玉楼。春だから桜が咲き誇る。此の場所は天帝(てんてい)が完成させたと外の世界ではそう伝えられて居ると此処の主の親友様から聞いた。


「妖夢、命令よ。修業をして来なさい」


「・・・ゑ? 」


 白玉楼の主の西行寺幽々子様の今の言葉をお分かり頂けただろうか。未熟さからか庭掃除していた私には理解出来ない。何時も通り幽々子様の親友様の八雲紫様が隣にいらっしゃる。何故か悪い予感しかしないです。


「良いわね。貴女、今の巫女に負けない位に強く成りなさい」


 現博麗の巫女、博麗怜悧は異変解決を専門、若しくは副業(あそび)としている者達(中に私は入って無い)によって育て上げられた人間。先代巫女霊夢は先天性の勘でやってるから家事全般以外を教える事は無理。天才って恐ろしいね。加えて他人から干渉出来ないとか。


 紫様曰く「もしも霊夢が霊夢では無かったら今の幻想郷では無かった」らしい。当たり前ですね。只、紫様の事だから何かしらの意味を含ませてるのだろうけど。


「そうね~」


 あ、話続いてた。


「最初は天界に行って親の七光り娘にでも喧嘩を売って頂戴」


 博麗の巫女が霊夢だった時に大地を起床させ地震を起こそうとした超絶暇天人、非那名居天子の事だろう。呼び名からしてまさか未だ恨んでたとは。


「其れは紫様の私怨では? 」


「彼奴は非想の剣を持ってた筈だから丁度良い相手じゃない? まあチョ〇チーが『みずびたし』を使って『でんげきは』を放つのと似た感じの戦い方だけど」


「例えが全く解りません」


「そうよ何六年前のゲームの話をして」


「幽々子様、私が言いたいのはそういう事では無いです」


「『効果は抜群だ!』を狙って来るのは確かだから。さ、行ってらっしゃい」


 幽々子は妖夢の背中を押す。


「冥界で何か有った場合とか」


「其の時は怜悧ちゃんに頼みましょう。私は何となく嫌だけど」


「其れは私も嫌です」


 何時の間に白楼剣と桜観剣を帯刀して箒は紫様の式神、藍さんが持って居た。


「だとしたら寧ろ行くべきよ。私の硬い盾さん」


 足下にスキマが現れ半身である半霊と共に重力に引っ張られ落下していく。




『まずは私の盾になりなさい』

『お任せ下さい。冥界一硬い盾、ごらんに入れましょう』




 目の前に雲海、後ろには幽明結界が佇んで居る。


「仕様が無い、行きますか」


 確か妖怪の山の頂上の更に上に浮いてた筈だと思い其方へ向かう。


 途中にて鴉天狗に出会い無視をして、腰痛に悩ませれて悶える巫女が居る神社を通り抜けて天界に到着する。


「さてと、何処に居るんだか」


 天界と言えば時々博麗神社に居候する鬼が暇潰しに来る。天空版竜宮の遣いも居るから聞けば良い。

 と思って居る内に桃が乗った黒い帽子を被り白い服を着た青い髪の少女を見つけた。彼女が天人崩れの非那名居天子だ。


 早速妖夢は重心を低くし抜刀の準備をする。


〈二百由旬の一閃〉


 白い一本の細い線を産み出し段幕が現れる。


 彼の幻想郷最速を謳う鴉天狗を越える速さで斬り付きに行く。だがギリギリの所で避けられる。其処を


〈幽明求聞持聡明の法〉


 半霊は妖夢の姿に変わり


〈妖童餓鬼の断食〉


 刀の切先から白い線を出し弾幕を使い動きを封じようとする。


 〈荒々しくも母なる大地よ〉


一寸ちょっと! いきなり何よ!? 」


 地面から岩が突き出し強制的に距離を作る。


「手合わせをお願いしようと」


「不意討ちをしてきた人の台詞では無い気がするわ。でも良いわ、リベンジよ!」


「では宜しくお願いします! 」


 二人は唯純粋に剣と刀を交えて居た。




『盾は外からの力を防ぐ力しか持たない』




「ゼー、フー、ゼー、フー」


「ハー、スー、ハー、スー」


「・・・・・・」


 戦闘の果てに伸び切って仰向けの元人間とうつ伏せの半人前と一部始終を安全圏から傍観してたしゃがんでる天女。


「おいシビ〇ドン、私と庭師、何方が勝った? 」


「ポイントで庭師の方ですね」


「ポイント制かよ・・・! 」


 元人間と言えども天人に成った今では汗をかかない。妖夢はと言うと、


「・・・・・・・・・」


 汗を地面に垂らし、へたばって居る状態。だが半霊はユラユラ揺れて居る。極めて普通の人間より平熱が低い彼女は今なら同じ温かさでは無かろうか。


「半人半霊に一つ助言です。焦れば焦る程、体力を消耗します。もし修行で来たのならば先程の戦いは無意味だったと言え・・・ましょう」


 断言をしようとしたが天子の方は不機嫌だから仄めかす事に成った。無意味と言えば最後の力を振り絞り、斬り掛かって来るに違いない。


「そうよね~」


 空間の裂け目から出て来た者は紫では無く幽々子だった。


「紫様! どうされました?」


 先程の疲労が嘘だったかの様に直ぐさま立ち上がった。


「貴女の主がねえ、何処ぞの巫女に捕まったのよ。助けに行ってらっしゃい」


 再びスキマの中に落ちて行く。




『あなたが硬い盾になっていく内に内のやわらかい部分から腐っていく』




 落下地点は暗い森の中だった。


「妖夢~、助けて~」


 妖夢の御主人は縄で縛られて居る状況だ(という)のに相変わらず間延びしてる。


「御前が妖夢か。私の名は明羅、お互い剣士同士、純粋に試合をしよう。御前が負ければ地獄の仏と修業をする・・・らしいが」


 ですよね。でも地獄の仏って何?ってヤラセか。そうか、私は未だ弄りの対象なんだな?


「あら、負けたらお化けに追い掛け回されるのが面白そうよ。」


 ・・・ゑ?幽々子様?


「知らん奴の意見なぞ聞かぬ。颯々と始めるとしよう」


 よ、良かった!


「はい!」




『ナマ物じゃないから腐らないわよ』

『判ってますよ。最初から腐ってることくらい。でも腐っていてもお守りするのが魂魄家の役割なんです』




「「・・・・・・・・・」」


 力を出し切った二人は多分、きっと、もしかすると呼吸してない。其処に此方のエンジニア、里香が謎の機械、イビルアイΣに乗ってやって来た。


「結果発表の前に御嬢様のロープを切って上げようなのです」


「有り難う」


「本題に入りたいけど二人共生きてる?」


 明羅はサムズアップで示し、妖夢は半霊を動かして意識が有る事を無言で証明する。


「解りましたなのです。では勝ったのは・・・半人半霊!粘り勝ちなのです!」


経過時間は36分、12で割り切れて判定で勝敗が決まるとかボクシング?


 其れを聞いた二人は多分気絶した。




 其の後


 近くを通り掛かった悪霊に白玉楼の近く迄送られた妖夢に紫は何故、「もしも霊夢は霊夢では無かったら今の幻想郷では無かった」か教えた。


 霊夢の先代で有る玲瓏は現役時代はとてもやんちゃで暴力的な異変解決をしていた。霊夢は天才で有った為に玲瓏の教えを必要とせず。加えて悲惨な光景を目の当たりにして意を決し新たな決闘方法、スペルカードルールを作った。そして今に至る。


 主の世間話によると人里の東側にて大事件が起こったらしい。なにゆえ其の話題が出てきたか、霊夢が暴力で異変解決をしていたら最低でも小さな子供二人が死傷していたかも知れなかったと言う。


  結局の所、私はきちんと主人の盾に成れたか定かでは無い。だが焦らず落ち着いて居れば内側も守れる硬い盾に成ると信じる。

麟「私出なかった・・・」

閲覧サンクス!

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