世革と一日の真実
「私も同意だな。あの子には私達には無い何かがある」
そう語るのはフリーチェだった。
「あの日、私はこの世界に侵攻する為の手駒を作り出す為、この世界に力を流し込んだ。そしてそれに触れたのがあの秋月世革と言う青年だった」
フリーチェはそう語るとあの日(第一~にわ)の出来事を回想する。
世革を包み、その体を小さくした黒い靄、その靄が晴れるとそこには秋月世革の姿は無く、代わりに一日の姿があった。
「お前は・・・分離しなかったのか?」
「ええ、私は分離していません。貴方の力で善悪が完全に別れてしまうのではないという事ですね」
魔王である筈のフリーチェに対し、一日は全く物怖じする気配無く発言する。
「貴方の力は悪意と善意を分離させ、悪意に新たな実態を与えて配下とする力。しかし私にはそれが起きず、貴方の力が純粋に私に与えられたのです。最も、女児の姿と言うのは貴方の趣味なのか、それとも私の趣向なのかは分かりませんが。
ですがそれはどうでもいい事、何しろ力が手に入ったのですから」
体に大きな異変が起こったにも関わらず、一日は満足気な声で話す。
「我の力を得て・・・どうするつもりだ・・・」
フリーチェは問いかけるが、その問いかけには明らかな動揺が見られる。魔王らしからぬ動揺、それはこの事態が全くの想定外であった事を意味していた。
「決まっているでしょう。貴方の望みを叶えますよ。フリーチェ様。但し、今直ぐでは無く、より献上するに相応しい形にしてね」
「相応しい形だと・・・」
「ええ、相応しい形です。この力があれば、その形成が可能となります」
そう返す一日に対し、フリーチェは一瞬口ごもる。だが
「・・・いいだろう、その相応しい形と言う物にしてみせよ」
高圧的でありながら威厳がどこか乏しい、そんな声で言う。
「はい。仰せのままに」
一日は純粋とも皮肉とも取れる声で返答するとその場から去っていく。
「あ、そうそう」
そう言うと足を止め、振り返った一日は
「私の名前は霜月一日、今後はこの名前で宜しくお願いします。フリーチェ様」
ただそれだけを告げ、再び歩き出すのであった。
「それから一日は今の日本で起きている精神現象を起こし、自らも女児として小学校に潜入し、独自の戦力を整えていった。今までの僕達だったら全く思いつかなかった方法で」
ヒリズのその言葉で現在に戻って来る。
「あの子が何故分離しなかったのか、その理由は未だに分かっていない、だが・・・」
「はい、分かっています。その理由が何であるにせよ、今や一日は俺達に欠かす事の出来ない存在です。俺達が結束するきっかけをくれたのも一日なのですから」
「なら頼む。あの子と共に行く事を!!」
フリーチェはまるで世界の支配が完了したかのような声で言い、他の三人もそれに賛同するのであった。




