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序章
「今日も何時も通りか・・・代わり映えしないな、良くも悪くも」
東京駅の改札で一人の若年男性がそう呟く。その男性の名は「秋月世革 二五歳」この世界を変えて欲しいという願いを込めてつけられたその名前とは裏腹にその性格は無駄を嫌う合理的な悟り世代であった。
その日も何時もの様に仕事をこなし、帰路についていた。そして通勤路途中にある神社、世革は昔は良くお参りをしていたが悟り世代としての人格が完成してからは時間の無駄だと何時も素通りしていた。だがその日は何時もとは違った。何故ならその目の前を通りかかった瞬間世革の足元に突然黒い渦が出現したのだから。
世革が「な、何だよこれ・・・うわっ!!」と声を上げた次の瞬間、彼の体はその渦に引きずり込まれていった・・・