第三話
「提案?」
「あのぅ…僕らじゃ見つけられないんですけど…もしかしたら貴方自身なら見つけられるかもしれないんです」
「本当か!?」
「その…あの…でも、幽体のままじゃ無理なので…」
「ひとつ、おいら達が器を用意しようじゃないかって話」
青空はパソコンに何か打つと、俺に向かって画面を見せた。
「船迫 要という高校一年生の少年です」
「こいつの魂は?」
「いいとこ気付いたねぇ…要っちの魂は封印されてるんだなぁ…これが」
「封印?」
「封印じゃないよ…大治郎。えっと、特別にアルバイトを…」
「は?」
「封印って言っても嘘じゃないだろうに。要っちは青空の同僚を助けたお礼として、一年間だけ一緒にそいつと行動を共にすることを願って、魂のままだと戻れなくなっちゃうからおいらのような動物に封印されてるのさ」
「なので、この身体を使える期間はあと十一ヶ月二週間と二日です」
頭の中にクエスチョンマークが沢山並ぶ。
「大治郎も、封印されてるわけ?」
「ああっ、呼び捨て…まぁいいけど。一応、お前さんより年上なんだよ?」
大きくため息をついた後、上目遣いで俺を見た。
「おいらの場合はちょっと特別な理由で自分から封印されたんだ」
「その後の質問は、時間が無いので今度にしてください。病院に案内します」
「……近いのか?」
俺の言葉に青空は大治郎を見る。
「二人は無理かな?」
「ううーん…シール外せば何とかなるかな」
「よし、行こう」
うなづいて青空が二本の指を大治郎の額に当てた途端に、黒い体が光り始めた。シールが外されて、俺の身体が浮きあがる。
「青空! しっかり捕まっとけよー」
青空は左手で大治郎の尻尾を捕まえると、右手で俺の襟首を捕まえる。
「何でいつも襟首なんだよっ」
「それーっ」
一気に引っ張られて首が絞まる。
「く、苦しい…って」
「もう着きました」
再びシールが貼られて病院の床に下りた。
「本当に貴方は想像豊かな方ですね」
「一瞬で、着いてんだけどねぇ」
顔熱い。青空の笑顔が逆に嫌味に見えるのは俺の心が荒んでいるせいか?
俺は右手で顔を扇ぎながら俯いてしまった。
「さぁ、急ぎましょう。朝までに入ってしまわないと」
閉まったままのドアをすり抜けて(本当に通り抜けた!)病室に入り、俺が入ることになる身体を見つけた。