第二十六話
「校門のところで物凄い圧力を感じた後は、何もないかな…。気ってのも見つかってない」
「そうか…やっぱりここじゃないんだなぁ」
俺と大治郎は同時にため息をついた。
「あの…話の途中悪いんだけど。オレたちには説明してくれないのかな」
「あ?」
「結界とか青空とか言われても…ね」
都雅の視線を受けて、勇気も深く頷いた。
「ああ…そっか、悪い。えっと…えーと。何から話せばいいのかな」
「船迫 要の身体に入った理由ってのを聞かせてくれないかな」
「あー…。話してもいいのかな…大治郎」
足元にいる大治郎に尋ねると、大治郎は首を傾げて小さくため息をつく。思わず同じように首を傾げてしまった。
「話さないと、次の話ができないから…まぁ仕方ないなぁ」
「ええと、俺も実はよく分かってないところがあるんだけど。俺の身体が盗まれたみたいなんだ」
「……盗まれた?」
「そう。んでもって、隠されちゃったから戻れないんだよね」
俺の話では、やはり理解は難しいらしい。
二人とも首を傾げている。どうやら俺だけじゃなく、二人まで大治郎の影響を受けてしまったみたいだ。
「盗まれて…隠された…?」
勇気は一生懸命理解しようと考え込んでいたが、しばらくして諦めたのか肩を落とす。
「よく分からないけど…面倒なことになっているって、さっき言ってたよね。大治郎」
大治郎は都雅の言葉に、小さな身体がぴょんと跳ねた。
「ああっ! また呼び捨て……はぁ、やっぱり猫になるんじゃなかったなぁ…」
そう呟いて、大治郎は俺たちを見上げた。
「なんだよ。青空だって大治郎の事、呼び捨てじゃないか」
「だって青空はおいらより年上だし、相棒だからいいんだよ」
「青空って人の名前?」