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第二十四話

「巻き込みたくないから、屋上から出ていってくれないか」

 勇気が哀しそうな顔をした横で、都雅は反対ににっこりと微笑んだ。

「説明もなしに、オレが去ると思う?」

「……思わない…けど! でもさ…」

「友達でしょ?」

 思わず視線をそらしてしまう。

 友達。

 たった一日だったけど、楽しかった。あの頃に戻れたようで。でも、俺は戻れない。俺自身の高校時代には。

 俺は決心して、二人を見た。

「俺が、本当は船迫 要じゃなくても?」

 都雅はいきなりぷーっと吹き出した。

「嘘じゃない! 俺は…」

「違う違う、知ってるよ…っていうか、うすうす感じてた」

「え…」

「記憶喪失って言ったって、変わり過ぎだし。ほら、地図の時。あの時から、おかしいなと思ってたんだ」

 勇気だけがまだ、あんぐりと口を開けていた。

「ええっ…要くんじゃないのぉ?」

 と、ようやく口を開いたかと思うと、その場にへなへなと座り込む。

「身体は要だけど、中身は三刀屋みとや 鋼樹こうき。ついでに言うと、二十代後半です」

「ええっ…」

「へぇ…」

 二人の反応は正反対だった。

「そろそろ良いかなぁ…こっちも話、始めたいんだけどね」

「あ…ええと。そういうことだから、どうする?」

「オレは残るよ」

 都雅は考える間もなく、そう答える。

「借りがあるって、以前言ってたけど、あくまでも要にだろ?」

「まぁね。でも、今は君と友達になったんだし。友達になった以上、守るって…言ったでしょ?」

「命を懸けることになってもか?」

「もちろん。繋がりができた以上、君が何と言おうとオレにとって友達に変わりない。誓いは絶対だ」

「……マジで?」

「嘘は言わない」

 俺は座り込んでいる勇気を見下ろした。

「勇気」

「……い、命懸けられるかなんて…分からないよ…っ…。で、でも、僕だって友達だもん。要くんじゃないって言われても、良く分からないし、理解できるかどうか分からないけど…でも、今日、僕、楽しかったんだ」

「うん…俺も楽しかった」

「友達でいたいよ…僕。都雅くんみたいに役には立たないかもしれないけど…でも、僕だって友達でしょう? 友達でいてくれるよね?」

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