表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

どうしたいのか_Part.2

作者: haruki

はい、出身地が同じ方からの視点でお送りする筈でした、ええ…!

おや、双子達が来ていますね。

ボディガードのアルフも居るようですし、差し入れとマムの顔を見に来たのでしょうね。

そうなりますと………。おや、パートナーを組んでいる方も早々に現在こちらへ派遣されている方々に連絡を回しているようですね。

学習能力が高いのは何よりです。

私達の負担も減りますしねぇ。



ご挨拶が遅れまして、まことに申し訳ございません。

私は、ナディア国の人です。名は………この場では、名乗れません。

様々な事情がありまして、下手に名乗ろうなものなら、別の災難を呼びかねないのです。

こればかりはどうしようもないのですが、時折勘違いをなされている方からの場違いな非難を浴びせられるのは御免蒙りたいものです。

特に、己が正しいと思い込んでいる方はとても厄介ですしねぇ。

とりあえず、性別は女性です。ですが、体格は男性並みに良い方です。

なので、スカートの類が似合わないことといったら……!

プライベートでは、私室だけで密かに楽しむしかありません。

これが非常に空しいのですが、私自身も容姿についてはそれなりに自覚がありますので、害となる光景を垂れ流す趣味はありません。

職務上はズボンやレギンスの方が動きやすいですしね。

ですが、ここ数年は職務だけでなく、プライベートも充実しております(ニコリ)。

もう少しだけ、ここに居たいと思うのですが、そうも行きません。

まもなく、辞令が降りるでしょう。他国への転勤もしくは、ナディア国へ帰還する旨の。

これはどこにいようとも避けれない事です。

癒着を防ぐ為と、後任を育てる為にも必要ですから。

それに、ナディア国においては、片親や両親が居ない子は珍しくありません。

なにしろ、ナディア国は数十年前までは悪名高い犯罪地として知られていたのですから。

難民という形で他国へ逃げた人々も、そこの出身と知れたら職だけでなく住処までも喪うことさえ当たり前でした。

若年の身ながらも、ナディア国を悪名から解放した方が現れるまでは。

それでも、今でも結婚は縁遠いのです。

結婚までに漕ぎ着けられた方々も少ないですし、結婚後周囲が冷たくなり、それまで交流があった方々からも縁を切られる事さえ、珍しくもありません。

その事もあり、自ら身を引く方々は多いのです。

私の父もそうでした。

父が唯一愛した母でさえ、私の出産後、母の両親へ『もう二度とお会いしませんし、金銭的な事で煩わせる事はしません』旨の書類と共に送り出したのです。

母にはたった一つのウソをついて。

それに、私には力がありました。テレパシーの力が。

それをコントロールする為にも、ナディア国へ戻る必要がありましたが、母が今までとは違う生活に耐えられる保障はありませんでした。

父もその辺は注意深くチェックしておりましたが、結局別れるしかないとの結論に達したのです。

ですが、身を切られる様につらかったのでしょう。

数年後、傷心を癒してくれた方と母が再婚する事を知った直後の父は深く傷つきましたが、先に裏切ったのはこちらの方なのだからと、決して動く事はありませんでした。

けれども、やはりショックは深かったのでしょう。

再婚された日から数日後、事故死しました。任務の対象者である夫妻を御守りしての最期でした。さすがに、その死だけは知らせない訳には行かないだろうと思ったのか、母の両親がそれとなくお伝えしたようで、母より父の葬式の日時についての問い合わせが入ったそうです。

けれども、二番目の夫とよい家庭を築いて欲しい想いが強かったので、参加は見合わせて欲しいとお伝えしました。

それに、ナディア国では火葬にした後の遺灰を海へ巻く風習があります。

遺灰を巻く海域はあらかじめ決められており、前もってそこの近くを通る予定の船舶や漁を行なう漁師達へ連絡を入れましての風習です。

だから、墓はないのです。いにしえの方々が眠られる墓地はありますが、そこを荒らすのは心理的にも嫌ですし。

なので、欧州においては、とても珍しい形での葬列として認識されていると聞きました。

その後は、私もこれからの生活や手続きで手一杯になり、母が現在どうしているかは存じませんでした。つい先日までは。

その際に起こったゴタゴタにつきましては、別の機会に語りましょう。

けれども、こういったゴタゴタもナディア国においては何時もの事なのですよ。

そうお話ししましたら、パートナーを組んでいる方は長い間沈黙していました。

パートナーの方は、残念ながら父親とは考えが合わず、大学へ進学する時に派手に衝突した結果、卒業までの学費は持ってくれましたが、生活費はバイトを幾つか掛け持ちして稼いでいたそうです。

親の脛をかじるのが当然であるという考えを持っていないだけでも、私達の中では好印象になりますが、その事は内緒にしています。

今までに来られた方々とは、少々そりが合わない事が多かったもので………。

なので、諸事情で短期間の赴任を予定しておられた聖司さんにとっては、子育てや裁判沙汰に発展した騒動の合間を縫っての勤務になり、かなりの負担を強いられていたのでしょう。

ある程度目処が立った時点で、緊急入院する騒ぎになりましたから………。

なので、聖司さんには頭が上がりません。

彼は、新たに赴任して来られた方々の教育を現在担当されておりますが、今までの経緯を考慮してか、己だけに通じる常識を持っておられる人に対しては強制学習をさせておりますから。

けれども、学習された後は、迷惑行為とかが急激に減られたとかで、周囲からは好評を頂いているそうです。

その事をわざわざ来られたお偉い方から聞かされた聖司さんは、表面上は笑顔でしたが、長年共に居た人でなくとも、しっかり学習されていますからねぇ………。

さすがに、暴力行為はしませんでしたが、滑らかな口調で上から見下す感じであらせられたお偉い方の自尊心を木っ端微塵に砕いて差し上げたそうですよ、密かに見届けた人々の噂では。



ああ、話が長くなってしまいましたね。単に、周囲の環境や常識について簡単に説明するだけだったはずでしたか、そう言えば。

これがとても難しい事は理解しましたわ。

直ぐに飲み込まれる方もおられれば、生まれ育った国での常識に当てはめて判断されてしまう方もいらっしゃるのですから。

力についても、人によって大小の差がありますのに、こうあるべきだと思い込まれている方々もいらっしゃいますしねぇ………。

あ、ごめんなさい!

長らく放置していたお話をようやく仕上げました。

でも、ちょっと違う方向に行ってしまったー!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ