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第8話「譲り合い宇宙」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あれっ・・」


事務所に、レビンは九乃助の靴がないことから出かけたと思った。

日曜の朝、早くから出かけているとは・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺の名は、篤元 豪(19)・・。

以前、フリーナインこと「焼野原 九乃助」に舐めてかかったが故に、油断して負けた。

屈辱だ・・。

この屈辱の怒りは、消えそうにない・・。

あれから、サンドバッグを何回叩いたか・・。

そして、どれだけ汗を流したか・・。


だから、今度は奴を倒せる・・。

自信はある・・。


だが、今は電車に乗っている・・。

何故なら・・。


都内某所で、フィギュアを買った後だからだ・・。

しかも、いわゆる「萌え系」・・。

体を鍛えるのが生き甲斐ではあったのに、こっちの趣味に、いつから走ってしまったのだろうか・・。


畜生・・。

まぁ、いい・・。

このまま、埼玉の家に・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あっ!」


と電車の吊り革に体重をかけ、肩には紙袋を持っていた豪を九乃助は発見した。


「えっ!」


豪は、目の前に九乃助がいることに気づいた。

同じ電車に乗っていたのだった。


「あっ・・」


豪の目の前の九乃助は、紙袋を持っていた。

電車の中で、立ち会う二人は言葉を失った。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺の名は、篤元 豪(19)・・。

以前、フリーナインこと「焼野原 九乃助」に(中略)どれだけ汗を流したか・・。


だから、今度は奴を倒せる・・。

自信はある・・。


だがフィギュアを持った、今の俺には無理だ・・。

ばれたら、死んだも同然だ・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


豪は、汗がだらけになっていた。

もし、ここで戦ったら、フィギュアを破損しかねない。

いや、それどころか、これを奴に見られたら電車の窓を突き破るほどの覚悟だった。


「貴様は、焼野原・・」


とりあえず、フィギュアの入った紙袋を背中の方に隠した。


「貴様は、ごう・ひろみ・・」


九乃助も、何故か、無口だった。

同じく汗だくだった。

彼も、背中の方に紙袋を隠した。


「・・」

「・・」


二人とも無口で睨みあった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺の名は、篤元(中略)自信はある・・。


だがフィギュアを持った、今の俺には無理だ・・。

出来れば、降りたいが、次の駅まで時間がある・・。


しかも、今の俺は不自然だ・・。

汗だらけだ・・。

しかも、無口だ・・。


とりあえず、声を出しておこう・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「どうした、焼野原・・。大人しいじゃないか・・。こないだの仕返しが怖いか・・(俺のバカ!そんなこと、言ったら刺激しちゃうだろ!!!)」


と思わず、口を滑ってしまっていた。


「なんだと、コラ・・」


と、九乃助が近づいてきた。


「威勢がいいな・・(うわー!近づいてきたー!!!)」


豪の汗は、噴水のように溢れた。

しかし、九乃助は足を進めてはいるが、近づいてこなかった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺の名は、焼野原 九乃助(23)

好きなお菓子は、バームクーヘン。


以前、俺に喧嘩を売ってきた、ごう・ひろみという奴が同じ電車に乗っていた。

こいつは、以前、俺が怯ませた。

そのせいか、こいつの今の目は飢えた獣のようだ・・。

汗の量も、奴の気合か・・。


こいつに勝てる自信はある・・。

だが、今は無理だ・・。


ガンプラを買った今では・・。


畜生・・、こいつ・・。

何故、仕掛けてこない・・。

不気味だ・・。


とりあえず、ガンプラを見られたら、こいつにオタクと思われる・・。

耐えろ・・。

今は、耐えるんだ・・。

俺・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ママ・・、あの人たち・・」

「見ないで!!」


「きもーい・・」

「男同士で、見つめあってる・・」


「最近、世の中、どうかしてるな・・」


「駅員、呼んだ方いいんじゃねぇーか・・」



そんな電車内の周囲の声が、二人の耳に入っても、二人は動けなかった。

二人の汗は、止まることを知らなかった。


二人は、互いに呪縛があった。

下手に動いたら、バレる。

相手が動いたら、もっとバレる。


この二人の呪縛が放たれるのは、電車が止まる時だけだった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺の名は、篤(中略)フィギュアを持った、今の俺には無理だ・・。


電車ーー!!!!

止まれーーーー!!!!!

止まってくれーーーー!!!!!!


俺の心臓が止まる前にーーーーーー!!!!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺の名は、焼(中略)好きなお菓子は、バームクーヘン。


電車ーー!!!!

止まれーーーー!!!!!

止まってくれーーーー!!!!!!


俺の心臓が止まる前にーーーーーー!!!!!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「はっ!」

「はっ!」


二人は気づいた。

この電車は、終点までの特急だった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


二人は、こう思った。


電車ーー!!!!

止まれーーーー!!!!!

止まってくれーーーー!!!!!!


俺の心臓が止まる前にーーーーーー!!!!!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「終点ー。お荷物の忘れ物のないよう・・」


というアナウンスがあった。

終点に着いたのだった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「じゃあな・・」


と、電車から降りた豪が手を挙げた。


「ああ・・」


九乃助は、それに答えた。

二人は、早歩きで去った。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺の名は、篤(中略)


なにやってるんだ・・、俺・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺の名は、焼(中略)好きなお菓子は、バームクーヘン。


なにやってるんだ・・、俺・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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