表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/37

第27話「夏の思い出」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「!?」

九乃助は、午後の昼下がりに八百屋で足が止まった。

「大玉スイカが半額だと・・」

八百屋の店先には、普段よりも格安で並べられていたスイカがある。

スイカ好きの九乃助には、たまらなかった。

そして、おもわず、2個購入したのであった。

これが、悲劇の始まりだった・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


アパートに戻った九乃助は、純太にスイカを切らせていた。

台所で、純太は愚痴っている。

「2個、食べ切れるんですか・・」

「大丈夫じゃ!「スイカは別腹」、「ボールは友達!」って言うだろう!!俺の最高記録は、4つだしよ」

訳のわからないことを言うほど、九乃助は上機嫌であった。

そして、携帯を片手に持った。


トン!トン!


ドアのノックがなった。

「お邪魔しますー」

と、レビンがドアを開けて部屋に入ってきた。

彼女は、九乃助に呼ばれてきたのである。

レビンにもスイカを食べさせようとする老婆心からであった。

「あっ、レビンちゃんー」

と、純太はスイカを切り分けながら、軽く手を振った。

「おおー、来たかー」

と、九乃助は上機嫌に、レビンをテーブルに手招き。

それに合わせて、レビンは部屋に入る。

九乃助の機嫌の良さに、レビンはちょっと珍しいと思っていた。

「機嫌よさそうですねー。今日は、どうしたんですか?」

「今日は、スイカが半額でよー」

と、意気揚々に九乃助は言う。

「ああ、近くの八百屋が安かったんでしょう?」

「そうだ・・、なんで、解った?」

レビンは半額の店が、どこだか一発で当てた。

なぜ、一発で解ったのか・・。

理由は、数分後にわかった・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・」

「・・」

「・・」

3人は、言葉が出なくなっていた。

まさに、金縛り状態。

九乃助の部屋に、2個スイカが追加された。

そのスイカは、誇らしげにテーブルにそびえる。

この2個は、レビンが呼ばれる前に、例の半額の店で買ってきたスイカであった。

彼女も、九乃助たちと食べようと思っての購入である。

「増えちまったな・・」

とスイカ好きの九乃助も、ちょっと困っていた。

「まぁ、キエラも、遅れて来るから大丈夫だ!!」

九乃助は、キエラも呼んでいたのであった。

キエラは、そろそろ来るはずである。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・」

「・・」

「・・」

「・・」

4人は、言葉が出なくなっている。

まさに、金縛り状態。

九乃助の部屋に、また2個スイカが追加された。

切り分けた分も含めた6個のスイカは、誇らしげにテーブルにそびえる。

キエラも、さっき購入していたのであった。

「どうすんだよ・・」

さすがの九乃助も困っていた。

「しかも、全部、大玉じゃないですか・・」

と、レビンがスイカのサイズにツッコミを入れる。

「・・!そうだ!!」

と、九乃助が声を上げた。

そして、部屋から飛び出して行った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


私立探偵、豪の住むマンションには、青いインプレッサがあった。

その隣に、九乃助のCR−Xが駐車された。


そして、豪の部屋では・・。

「篤元いるか!!」

と部屋のドアを、いきなり開けて、九乃助が現れた。

九乃助の手には、スイカを2個持っている。

どうやらお裾分けするようであった。

「ああ、九乃助さん、いいとこに・・」

「?」

そう言って豪が、用件を聞かずに、また部屋に戻って行った。

まるで、なにかを取りに行くように・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・」

「・・」

「・・」

「・・」

「・・」

九乃助がアパートに戻ると、5人は言葉が出なくなった。

まさに、金縛り状態。

九乃助の部屋には、豪が居た。

両腕に、スイカを2個持って・・。

九乃助の部屋に、また2個スイカが追加された。

切り分けた分も含めた8個のスイカは、誇らしげにテーブルにそびえる。

減るどころか、増えた。

豪は実家から、スイカが送られたので、それを、九乃助たちにお裾分けしようと思っていた。

だが、また九乃助たちの首を絞める羽目になった。

「どうやって、8個も食うんだよ!!焼野原ぁ!!!」

と、純太がキレた。

「うるせぇな!!こうなるとは、思わなかったんだよ!!」

九乃助は、逆ギレで返した。

レビンは、この状況の不可抗力さに泣きそうだった。


「みんな、落ち着いて!」


と、キエラが言った。

すると、その場の騒ぎは納まった。

まさに、鶴の一声。

彼女は、なにかの策があるようであった。

「キエラちゃん、急にどうしたの・・」

とキエラの冷静な様子に、レビンは反応した

すると、キエラは策有り気に口を開いた。


「この5人でスイカ8個を、一人一個で食べれば3個残る」


すっごい、当たり前のことを言った。

「んなことじゃねぇーー!!」

「んなことじゃねぇーー!!」

「んなことじゃねぇーー!!」

「んなことじゃねぇーー!!」

奇跡の4人同時ツッコミが炸裂。

しかも、ハモった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


午後11時・・


ここは、某市内の駅裏。

深夜には治安が悪くなることで有名であった。

不良などの高校生やチンピラがうろついていて危険である。

今日も、街中の不良が街中を牛耳っている。


「うーっ、トイレ!トイレ!」

今、トイレを探して走り回ってる、いかにもなラッパースタイルの不良少年、正井中広は強いて言うとスイカが好きな男の子であった。

そんなわけで、彼は駅裏に居た。

「!」

すると、駅裏のベンチで座っている男がいる。

半袖のコートの茶髪の青年(九乃助です)であった。

「うほ・・、普通の男・・」

と、正井少年は思っていた。


そう彼が、思った瞬間。

九乃助は、少年を見つめながら足元から、多く貰ったスイカを出した。

「はっ!」

少年の目は、スイカに釘付けである。

そして、九乃助はスイカを出して言った。


「食べないか?」


「いや、結構です・・」

少年は、断った。


こうして、焼野原九乃助(23)好きなお菓子は、バームクーヘンの青年は、武田のせいで請け負った借金500万と、スイカ8個(しかも、全部大玉)を背負った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ