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季節のない改編期?

 平成も来年で終わりとなる、2018年(平成30年)8月下旬の土曜日の22時。放送作家事務所<レッドマウンテン>の休憩エリアのテレビで、お笑いコンビ、高速ラインNEO(高ネオ)の新たな冠(番組)『高ネオ STREET』のオンエアをチェックしていた。

 

 プライムタイム(19時〜23時)の番組が低視聴率により今月中旬で打ち切りとなり、急遽新たにスタッフが招集されてバタバタとロケとスタジオ収録が行われ、今夜が初回となる。

 

 レギュラーは高ネオの安在正高と多田夕起を筆頭に、同じくお笑いコンビのオクシデンタルリズム(オクリズ)の大政功希と飯田孝秋、昨今はバラエティのみならず、俳優業の仕事も増え始めてマルチに活躍している、KAORIの5名。これから企画内容や回によって芸人や役者をゲストとして招く予定ではあるのだが……。

 

 高速ラインNEOの売りは漫才で、2人揃ってネタが作れる稀有なコンビである。多田の作るネタは正統派な漫才なのだが、安在が作る漫才は動きが入っていてコントチックなのが特徴だ。

 

 だが、同学年だが後輩のオクシデンタルリズムの方が先に台頭し、オクリズの方が先に冠を任せられ、高ネオが彼らの番組にゲストやレギュラー出演していた。高ネオにしてみれば屈辱的だっただろうが、長年二番煎じでブームを知らない、地道に活動して来た苦労を重ねたコンビだ。

 

 しかしオクリズの番組は低視聴率により次々と終了して行き、今や形勢が逆転した。

 


 画面には『高ネオ STREET』とバックは黒、ロゴは赤で表示され、テーマ曲と共に高ネオの2人が映し出された後は、オクリズの2人がTTH(東京テレビ放送)正面玄関で、『仮面ライダー』のショッカー風の全身黒タイツの姿の男達にボコボコにされる。

 

 そこにKAORIが現れ、ショッカー風の男達を薙倒してオクリズは拍手を贈り、KAORIはカメラに向かってドヤ顔で決めポーズ。

 メンバー紹介が終わった所で最後に5人全員が白バックの前に立ち、オープニングは終了。初回はこんな感じ。


「何? 高ネオの新番?」

 社長の陣内美貴がオフィスエリアから現れた。

「ええ。ちょっと気になったんで。初回ですしね」

「そうか、今夜からだったんだ」

 社長もオレの右隣の椅子に座ってテレビを観始める。


「さあ、今日から装いも新たにスタートします『高ネオ STREET』、ではありますけども、多田は腰痛を悪くしましてスタジオはお休みです」

 安在が苦笑いで告げた。

「初回でしょ? 今日」

「タイミング悪過ぎ」

「何で今日に限ってメインが1人いないの」

 オクリズの大政と飯田、KAORIも苦笑。

 その発言に「演出」として女性の笑い声が挿入される。だがスタジオには観客はいない。


「まあ今日は4人でVTRを観ましょう。VTRには多田も出演してますから」

 安在は諦めモード、になるしかなく進行。多田の腰痛改善まで待っている時間などない程、番組立上げは急でオンエアまで時間がなかった。


「社長」

「何?」

「今回の番組も、多分長続きしないでしょうね」

 座ったまま伸びをしながらぼやいてしまう。

「またそんな事言って、出演者が1人休んだからってどうなるか解らないよ」

 陣内社長はツッコミながらオレの肩に手を置く。お互い無表情で。視聴者の中には笑っている人もいるかもしれないが、作り手としては何とも後味の悪いスタートだ。


「でもメインですからね。まあ確かに先の事は解りませんけど」

 


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