第9話 護衛依頼
私たちが村を出発しようとすると、数人の村人が追ってきた。
「おい、アンタら!」
「……ね、アルガ」
ミヤが私の袖を引いて囁いた。
「あの人、アルガが宿の酒場から放り出した人だよ」
「そうなの?」
私は中心の男を見るが、いかんせん宿屋の食堂が暗かったので、昨日のトラブルに関わった人間の顔は見えなかった。
「どういうご用かな?」
「ま、待ってくれ!仕返しとかじゃねぇんだ!」
両手を開いて前に突き出し、男が敵意のなさをアピールしてくる。
「た、頼みがあって来た!俺らは南西の街に移動する輸送業者だ!農作物を運んでる!その護衛をしてくれねぇか!?」
ドワーフと実質手分けする形になり、北西の街にはドワーフが向かうことになった。テオフィリウスに向けた伝言も、ドワーフ経由で残す約束をしているので、南西で情報収集する予定だ。
「ちょっとマズいわね」
ルキエッタが言った。
「ウチとこっちのミヤはギルドに所属してんの。ギルドを経由せず依頼を受けると、規約違反で一発除名されんのよね」
「そうだよね……疑われるような真似もできないし」
ミヤがルキエッタと目くばせして言った。
「ならわたくしとイ――」
私は咄嗟に手でネリアンナの口を塞いだ。
「じ、事後報告って形じゃ受けちゃくれねぇか?」
「ごめんなさい、それもダメなんです。昔、難しい依頼を受けて多額の報酬をもらった後、ギルドには簡単な依頼の報酬しかもらってないって嘘の事後報告をした魔術師がいたんです。その人は簡単な依頼の分の安い仲介手数料だけギルドに払って、報酬を着服したせいで投獄されたんですよ」




